【4月24日 AFP】欧州で毎年、大気汚染が原因で18歳未満の子ども1200人以上が早死にしていることが、24日公表の欧州連合(EU)欧州環境庁(EEA)の報告書で明らかになった。成人後に慢性疾患を発症するリスクも高まるという。

 調査はEU加盟27か国を含む30か国以上を対象に行った。主要産業国であるロシア、ウクライナ、英国は含まれておらず、欧州全体の死者はさらに多いとみられる。

 大気汚染は近年改善傾向にあるものの、欧州の多くの国で主要な大気汚染濃度レベルが世界保健機関(WHO)のガイドラインを上回っており、特に中・東欧とイタリアが顕著だという。

 EEAは昨年11月、EU加盟国とアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス、トルコで、大気汚染が原因で2020年に23万8000人が早死にしたと発表していた。

 今回の調査では、初めて子どもに焦点が当てられた。

 報告書は、大気汚染によって欧州では毎年1200人以上の18歳未満の子どもが早死にしているとしている。また、その後の疾患の発症リスクも著しく高まるという。

 EEAは各国に対し、学校や保育所、スポーツ施設、公共交通機関の施設などで集中的に大気汚染対策を講じるよう求めた。

「生後は周囲環境の大気汚染によってぜんそく、肺機能の低下、呼吸器感染症、アレルギーなどのリスクが高まる」としている。

 主に乗用車やトラックから排出され、肺の奥まで入り込む微粒子物質は、二酸化窒素やオゾンよりも害がある最悪の大気汚染物質だとされている。

 2005年にはEU加盟国で微粒子が原因で43万1000人が早死にした。

 一方WHOによると、世界では毎年大気汚染で700万人が死亡しており、欧州の状況は比較的良い。(c)AFP/Marc PREEL