【5月3日 AFP】フランスで最も愛され、最も悪名が高いともされた歌手・作曲家のセルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg)さんの家が9月20日から一般公開される。

 パリのセーヌ(Seine)川左岸に建つ家は、ゲンズブールさんが1991年に亡くなって以来、ファンたちの聖地となっていた。

 ジタン(Gitanes)のたばこの吸い殻がいっぱいの灰皿から、バロック調の像や幾つもの楽器まで、家の中はほぼ当時のまま保存されている。

 79年4月にテレビ取材が入った際、ゲンズブールさんは「これが私の家だ。何と表現すればいいだろう。居間であり音楽室であり、売春宿や美術館かもしれない」と語っていた。

 ゲンズブールさんは69年に入居した当初、英国生まれの女優ジェーン・バーキン(Jane Birkin)さんと暮らしていた。バーキンさんとデュエットした「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(Je t'aime... moi non plus)」は、官能的な歌詞のために複数の国で放送禁止となった。

 二人の娘で、映画『アンチクライスト(Antichrist)』などで知られる女優のシャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)さんは、ゲンズブール邸の一般公開を「とても喜び、感激している」と声明を発表。「父の作品をまた別の角度から鑑賞し得る特別な体験を提供したい」と述べた。

 家の向かいには、ゲンズブールさんの人生とキャリアをたどる博物館も開設される。

 シャルロットさんは2021年、AFPの取材に「父に関するもので、私に残されたのはこれ(家)だけだった。だから、宝物のように大事にしてきた」と語った。

「でもニューヨークに移り住んで少し距離を置いたら、こうすべきだと分かった…公共の利益のために、また自分の心の健康のためにも手放さなければならないと。誰もが入れるフランスの文化遺産とすべきなんだと」 (c)AFP/Philippe GRELARD