【3月17日 AFP】歌手で俳優のセルジュ・ゲンズブール(Serge Gainsbourg)が亡くなって30年近くたつ今も、ジェーン・バーキン(Jane Birkin、73)は、公私にわたるかつてのパートナーの有名な楽曲に命を吹き込んでいる。

 今月6日、バーキンは米ニューヨークで、ゲンズブールの楽曲をオーケストラ用に編曲したものを、トレードマークでもある吐息交じりの歌声で披露した。

 2016年にカナダ・モントリオールで1回限り行われたショーをバーキンはその後、ツアーで再演し続けている。ニューヨークで行われた今回のショーでは、ゲンズブールとの間に生まれた娘で、女優で歌手のシャルロット・ゲンズブール(Charlotte Gainsbourg)と米ロック歌手イギー・ポップ(Iggy Pop)とも共演した。

「彼が今ニューヨークで自分の歌を客が聴くのを見たら、とても喜んだはず」と、マンハッタン(Manhattan)にあるホテルの一室で、ショーの前にAFPの取材に応じたバーキンは語った。コーヒーテーブルの上には、彼女にちなんで名付けられ、人気を博した仏ファッションブランド、エルメス(Hermes)のバッグ「バーキン」が置かれている。

「セルジュがニューヨークで歌う機会はなかった」。ゲンズブールは1991年に心臓発作を起こし、62歳で世を去った。「だから、彼をあちこちに連れて行くのは楽しい」

 1968年制作の映画『スローガン(Slogan)』の撮影現場で出会ったバーキンとゲンズブールは、1980年に破局するまでセレブカップルとして一世を風靡(ふうび)した。

 別れた後のゲンズブールは、「それまでの関係にはなかった友人」という立場になったという。「最高の関係だった」

 18歳年上だったゲンズブールにいつまでも引かれるのは、並外れた才能、子どものように自由奔放な精神、そしてユーモアがあったためだという。

「才能にあふれた男性、例えば素晴らしい作曲家や作家は、まあ、そういう優れた人は男性でも女性でもたくさんいると思うけど、そういう人たちって一緒にいると気難しかったり退屈だったりすることがあるでしょ」「だけど、セルジュはすごく面白い人」