【4月14日 AFP】汎米保健機構(Pan-American Health OrganizationPAHO)は、世界シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)デーを翌日に控えた13日、この病気について、あまり知られていないが、中南米で毎年1万人の命を奪うサイレントキラー病(初期には症状を自覚できないまま進行していき最終的には致命的な合併症を引き起こしてしまう病気)で、早期発見に向けてさらなる対策を講じなければならないと訴えた。

 シャーガス病は米州以外の地域にも広がりつつあり、「世界で600万人以上」が感染しているという。

 シャーガス病は、クルーズトリパノソーマという原虫が寄生することによって起こる疾患で、主に虫に刺されることで感染する。クルーズトリパノソーマは、サシガメという昆虫に媒介されることが多い。サシガメは農村部の泥、日干しれんが、わら、ヤシの葉ぶきの屋根などに生息している。

 PAHOのジャーバス・バルボサ(Jarbas Barbosa)事務局長はシャーガス病について、「数百万人が感染しているにもかかわらず、ほとんど知られていない」と述べた。

 シャーガス病の名前は、1909年にこの病気を発見したブラジルのカルロス・シャーガス(Carlos Chagas)医師にちなんだもの。無症状であることが多く、10人に1人ほどしか診断されない。

 早期に発見し治療すればほぼ100%治癒できる。発見が間に合えば、治癒したり、進行を遅延させることができる。一方、慢性期でも治療によって進行を遅らせることができるが、治療をしない場合、最高で30%の患者が不可逆的な神経疾患や心疾患が進行する恐れがある。

 シャーガス病は米州21か国に常在しているが、人の移動が活発化するにつれ、他の大陸にも広がっている。(c)AFP