漢字は、東アジア世界の文明交流にいかにして役立つのか
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【4月12日 CNS】東アジアの国々は、過去に類似した文化を共有してきた。そして漢字はその根本だ。過去には、東アジアの商人や使節たちは、言葉が通じない状況でも、紙1枚、筆1本でのコミュニケーションをとることができた。同時に、東アジア世界は「共通言語を使う」ように見えるが、それでもそれぞれの国は異なる面白さを持っている。
漢字は中国の文字であるにもかかわらず、長い間、近隣の朝鮮半島、日本、ベトナムなどでも漢字が使われ、儒教や仏教などを含む漢字の古典やそれを代表する文化は、地域間の共通認識となっている。漢文は常に地域の共通語であり、過去の東アジア文化交流において、漢字は交流手段として唯一のもので、その重要性は言うまでもない。しかしながら、漢字は各国で発音が異なり、読み方も異なるため、各国の文化交流は、本を読んだり文章を理解することに留まり、直接的な対人交流はほとんどなく、またあっても書簡交流に限定されるため、真の対話を実現するのは難しいとされている。
過去に漢字を使用した国々の地域を漢字文化圏と呼び、主に中国、ベトナム、朝鮮、琉球、日本を指す。この名称は日本の学者、河野一郎(Ichiro Kono)氏が最初に提唱した。しかし、圏内の各国は漢字に対する見方が異なり、中国の近隣国は漢字を使用しているが、発音や書き方などは中国語と大きく異なる。漢字をめぐる異なる文化の背後には、それぞれ異なる言語観、国家観、そして世界観が潜んでいると言える。
東アジア漢字文化圏の交流は既に約2000年の歴史があるが、現在はグローバル化の挑戦に直面している。例えば、韓国は固有名詞については国内発音を用いる「固有名詞の現地音主義」を主張している。漢字文化圏の旧慣を解体し、グローバルな原則に合わせる必要がある一方、現地音を尊重することは民族主義に基づくものだと言える。
東アジアの固有名詞の発音問題について、各国がそれぞれ主張し、新しい規則も静かに形成されている。日本中国学会(The Sinological Society of Japan)理事長、著名な漢学者の金文京(Kim Moon Kyung)氏は、現代の中国人がこの問題に対する関心が低いように思われると述べ、中国人が関心を高め、韓国や日本で現在起こっている状況をより理解することを望んでいる。言語の変化は、無作為でコントロール不能だが、知っているか知らないかでは大きな違いがある。現状を放置し、関心を寄せず、共通の合意がないまま各自が別々の道を歩むと、将来的には混乱や非常に困難な状況に直面することになるかもしれない。この問題は現在、岐路に立っているが、道を選択するには、過去の歴史を振り返り、反省し、未来を展望する必要があると述べた。(c)CNS/JCM/AFPBB News