【4月10日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領(45)は先週の訪中で、国内の年金改革をめぐる怒りや抗議デモとは真逆の歓待を受けた。

 マクロン氏の3日間の訪中には、ウクライナを侵攻するロシアに対する中国の支援をけん制するとともに、極めて重要な貿易相手国としての関係を強化する狙いがあった。だが中国国内では多くの市民がマクロン氏に好印象を抱き、そのルックスやリラックスした振る舞いをたたえる声が上がった。

 7日に南部の広州(Guangzhou)を訪れた際には、大勢の学生やファンが大歓声で迎え、ソーシャルメディアにもマクロン氏の話題があふれた。

 ある北京在住者(34)はマクロン氏について「とても親しみやすく、他の大統領とは雰囲気が違う。とても若くて精力的な大統領で、さまざまな改革にも熱心に取り組んできた」と高く評価した。

 大統領一行が群衆をかき分けるようにして大学構内を進むと、携帯電話を握った人々がマクロン氏に触れようとしきりに手を伸ばし、同氏が握手すると黄色い声が上がった。微博(ウェイボー、Weibo)に投稿された動画の中では「きょうは手を洗わない!」と喜ぶ人の声も聞かれた。

 北京市内のフランス料理店で食事をしていた、マクロン氏ファンだという26歳の女性は、多くの若者にとっては大統領夫妻の「ラブストーリー」が第一印象になっていると話し、「政策について詳しいとは言えないかもしれないが、私生活については少し知っていると思う」と語った。

 マクロン氏に向けられた好評価について、中国のソーシャルメディア上では、厳しい批判にさらされる自国から遠く離れてしばしの休息となったと皮肉る声も聞かれた。

 上海在住のウェイボー利用者は、中国の学生は「マクロン氏をアイドルのように歓迎しているが、フランスの学生は同氏に異議を唱え、卵や小麦粉を投げ付けているだろう」と投稿した。(c)AFP/Ludovic EHRET