■ラムの伝統に「ほれ込む」

 マルティさんには現在、ミテエル・ニエブラさん(42)という弟子がいる。元々蒸留所で他の仕事をしていたニエブラさんは、7年前からラムマスターを目指し始めた。マルティさんが見込んだのは、ニエブラさんの鋭い嗅覚と人間的な魅力だ。

「8世代にわたって受け継がれてきた伝統を守ることが、私たちの国や文化にとってどれほど重要なことか、理解できるようになってきた」とニエブラさん。現在は修業の一環として「文化的な部分、キューバ産ラムの歴史」を集中的に勉強している。学べば学ぶほど、ラムの伝統に「ほれ込んでいく」という。

 マルティさんいわくラムマスターの役割は、先人たちが残した酒造りの技術、歴史、多様な感覚を謙虚に吸収し、この遺産を人々が「未来に伝え続けることができるよう寛大である」ことだ。

 ラムマスターはそれぞれ別の国営蒸留所、別の銘柄のために働いているが、キューバ産ラム酒の品質と安定性を確保するため同じ倫理規定に従っている。定期的に会合を開き、気候変動の脅威、サトウキビの栽培法、国際基準などさまざまなテーマについて話し合っている。

 こうした細部へのこだわりが実を結び、キューバ産ラム酒の生産システムは昨年9月、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の無形文化遺産に登録された。(c)AFP/Jordane BERTRAND