【3月24日 AFP】ウクライナの首都キーウに22日、ロシアの支配地域に連れ去られたウクライナの子ども17人を乗せたバスが到着した。デニス・ザポロジチェンコさんはバスから飛び出してきた10歳の息子を抱き止めると額にキスをした。続いて降りて来た娘2人も抱き締めた。

 子どもたちは、数か月にわたり保護者から引き離され、ロシア当局の管理下に置かれていた。

 子どもたちの救出は、不法にロシア支配地域に移送させられたとされるウクライナの子どもの救出を手掛けるNGO「セーブ・ウクライナ(Save Ukraine)」により実現した。

 政府によると、侵攻開始からこれまでに1万6000人以上の子どもがロシアに連れ去られている。子どもたちの多くは、施設に入れられるか里子に出されているという。

 ロシアは、これを否定。子どもたちを戦争の恐怖から守っているだけだと主張している。

 だが、国際刑事裁判所(ICC)は17日、ウクライナの子どもを違法に移送したことが戦争犯罪に当たると判断し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に逮捕状を出した。

 ザポロジチェンコさんと子どもたちは、昨年10月から離れ離れになっていた。

 一家は当時、州都として唯一ロシアに占領された東部ヘルソン(Kherson)市に住んでいた。ザポロジチェンコさんは、奪還を目指すウクライナとロシアとの間で戦闘が激化すると考えた。

 2014年にロシアに併合された風光明媚(めいび)なクリミア(Crimea)半島での「ロシアのサマーキャンプ」に子どもたちを避難がてら行かせた方がましだと判断したのだった。

 ザポロジチェンコさんはAFPに対し、ロシア当局は「キャンプに1、2週間連れて行くだけだと約束した」と話した。「行かせるべきではなかったと気付いた時には遅かった」