【3月29日 AFP】ロシアで中国語のオンラインレッスンをして生計を立てているキリル・ブロビンさん(20)は、毎日曜日は早朝から夜中まで働きづめだ。

 生徒数はこの1年で3倍に増えた。日曜日は一番忙しく、「休憩をほとんど取らずに16時間レッスンをしている」と話す。

 中国語人気は、ロシアがアジアに軸足を移していることを示している。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は今月、両国の「制限のない」関係を深める目的で3日間の日程でロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と会談した。

 ロシアはウクライナ侵攻に対する制裁を欧米諸国から課されており、国際社会からの孤立を深めている。経済・技術開発は打撃を受け、中国への依存度を高めている。

 ロシアのオンライン人材派遣会社大手ヘッドハンター(HeadHunter)のナタリア・ダニナ氏によると、中国語を必要とする求人は昨年は1万1000件近くと、前年に比べ44%増加した。

■力を合わせれば「どこにも負けない」

 ロシアでの中国語人気は、英語と肩を並べる勢いだ。

 両方の言語を教えているアリーナ・ハムロワさん(26)は、今年の英語のレッスン受講者はわずか3人だと話した。中国語は12人いる。

 欧州の大学への留学がかなわなくなった今は、中国への留学希望者も増えているという。

 教育部門を統括するロシアの国営機関によると、外国語で最も人気があるのは依然として英語だが、高校修了時の外国語試験で中国語を選択する生徒の数は1万7000人と1年で倍増した。

 ロシアが孤立を深めるにつれ、国内の多くの語学学校はカリキュラムを変更し、中国語の教師を招聘(しょうへい)している。

 2017年に中国語の語学学校を設立したワン・インユーさん(38)とロシア人の妻で中国語を話すナタリアさんは、今年の受講生は昨年の2倍になったと話した。

 ワンさんは、「経済制裁によって手に入らなくなった製品を中国の工場に発注している企業も多い」とロシア語でAFPに語った。

 一方、ロシアへの輸出に関心を寄せる中国企業の間では、バイリンガルの求人需要が高まっている。

 ワンさんは、中ロ関係の緊密化を歓迎している。

「中国の産業基盤は堅固で、ロシアは資源が豊富だ。それぞれが独自に経済を築ける」とワンさん。「お互いが力を合わせれば、どこにも負けることはない」と話した。(c)AFP/Marina LAPENKOVA