【3月21日 AFP】フランスの国民議会(下院)は20日、年金制度改革をめぐり提出された内閣不信任決議案を否決した。これにより、大規模な抗議を巻き起こしている年金改革法案が正式に採択される形となり、大統領府はエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が22日にテレビインタビューを行うと発表した。

 マクロン政権は、年金支給の開始年齢を62歳から64歳に引き上げる改革法案を、憲法の特例措置を用いて下院での投票なしに採択。これに対しデモ隊は「民主主義の否定」だと強く反発した。

 20日に国民議会で採決が行われた二つの内閣不信任案はいずれも否決され、一つの案の投票では9票という僅差だった。

 マクロン氏は改革法案についてこれまでほぼ沈黙を貫いてきたが、大統領府によると同氏は22日、テレビの生放送で記者からの質問に答える予定。

 年金改革法案は21日に正式に採択されるが、昨年のマクロン大統領の再選以降最大の国内危機が沈静化する見込みは薄い。

 23日にさらなるストライキと抗議デモの呼び掛けが行われており、各地で再び公共交通機関の運行に乱れが出る恐れがある。

 また首都パリをはじめとする都市では、ごみ収集作業員によるストが行われており、パリは現在、不衛生なごみの山が放置された状態が続いている。

 マクロン大統領は、高齢化が進む中、今後数十年に起こる深刻な財政赤字を回避するためには年金改革が必要だと主張。これに対し反対派は、今回の改革で低所得者や女性、肉体労働者が不公平な負担を被ることになると訴えている。

 改革をめぐっては、複数の世論調査で、国民の3分の2が反対の姿勢を維持していることが明らかになっている。(c)AFP/Stuart WILLIAMS/Valerie LEROUX