【3月16日 AFP】2003年に中国当局による重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染者隠蔽(いんぺい)を告発した医師、蒋彦永(Jiang Yanyong)氏が11日、死去した。91歳。家族が15日、明らかにした。

 当時、北京の軍病院に勤めていた蒋氏は、中国当局がSARSの感染者数を過小報告していると海外メディアに告発。当局の怒りを買った。

 義理の娘によると、葬儀は15日午前に執り行われたが、自身は参列を許されなかった。

 SARSの流行では世界で800人以上が死亡。中国はSARSが同国南部で発生した事実を当初隠蔽したことで世界各国から強く非難された。

 メディア検閲が行われている中国本土で、蒋氏の死は報じられなかったが、ソーシャルメディアには蒋氏を追悼する投稿もあった。ある微博(Weibo、ウェイボー)ユーザーは「真実を語る勇気のある医師だった」とたたえた。

 権威主義的な中国では今も、災害や公衆衛生上の危機に関する情報は厳しく管理されている。

 2019年12月には、中部・武漢(Wuhan)の医師グループが、SARSに似た新しい病気(新型コロナウイルス感染症のこと)が市内で流行しているとソーシャルメディアで警告した後、「うわさ」を流布したとして警察に訓戒処分を受けた。医師グループの一人、眼科医の李文亮(Li Wenliang)氏は、その後新型コロナで亡くなり、国民に怒りが広がった。(c)AFP