【3月15日 AFP】ポーランドの裁判所は14日、妊娠中の女性に経口中絶薬を提供したとして活動家のユスティナ・ビドリンスカ(Justyna Wydrzynska)氏に有罪を言い渡した。同氏が共同創設者となっているNGOが明らかにした。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は、中絶薬を提供した活動家が起訴され、有罪となったのは欧州初だとしている。

 カトリックが多数を占めるポーランドは中絶を厳しく規制している。レイプや近親相姦による妊娠、母体に危険が及ぶ場合以外は中絶を禁じている。

 ビドリンスカ氏は、2020年に妊娠12週目の女性に中絶薬を提供した。

 同氏が昨年AFPに説明したところによると、女性は夫からドメスティックバイオレンス(DV)を受けており、ドイツで中絶手術を受けるのを夫に止められ、援助を求めていた。自宅で中絶薬が届くのを待つ間に夫が通報。薬は警察に押収され、捜査が開始された。女性はその後、流産した。

 ビドリンスカ氏が創設者の一人を務めるNGO「アボーション・ドリームチーム(Abortion Dream Team)」は、同氏が中絶を援助し有罪となり、月30時間、8か月間の社会奉仕活動を言い渡されたとツイッター(Twitter)に投稿した。

 アムネスティのアニェス・カラマール(Agnes Callamard)事務総長は今回の判決について、「中絶がほぼ全面的に禁止されているポーランドで危険な前例になる」と警告。同国における女性のリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)の抑圧を示す最悪の事例で、女性や少女、その権利を守る人々が大きな代償を払わされていると指摘した。

 裁判所から出て来たビドリンスカ氏は、上訴する意向を示した。「罪の意識は感じていない」として、今後も自身のNGOで助けを必要とする女性たちからの電話に応え続けると述べた。

 同団体は、昨年4万4000人の中絶を支援したとしている。

 今月実施された世論調査によると、中絶の規制緩和に賛成する人の割合は83.7%に上っている。(c)AFP/Anna Maria JAKUBEK / Magdalena PACIOREK