【3月14日 CNS】中国南西部の雲南省(Yunnan)騰冲(Tengchong)灌区(かんがい区域)水利プロジェクトの建設が2月26日に開始された。この水利プロジェクトの総投資額は約39億元(約759億円)で、完成までの工期は4年で、中国水利部が2023年に重点的に推進する重大水利プロジェクトの一つだ。

 雲南省騰冲灌区水利プロジェクトは、水源プロジェクトと送水・排水プロジェクトからなる。完成後は、灌区の水資源配分システムが改善され、灌区の穀物や特産農作物の栽培、騰冲市中心部および灌区沿いの村落に水資源が供給され、地域の食糧生産安全と都市・農村の水供給安全に重要な役割を果たすことが見込まれる。

 中国の東海岸の先進地域に比べ、国境地域の一つである雲南省の経済・社会発展は遅れているが、地元の花卉栽培などの特色農業が比較的発展しており、生物多様性の保護が優れており、少数民族が集まり、観光資源も豊富だ。そのため、このプロジェクトは、雲南省が生態文明建設を更に推進し、農村の振興を実現することに役立つと同時に、少数民族地域の経済の高品質な発展を促進し、中国の辺境の安定を維持することに有利であり、東南アジアの中心建設への影響という点でも重要な意義を持っている。

 重大水利プロジェクトは、投資額が大きく、多くの雇用を生み出し、産業チェーンが長いため、大きな利点がある。中国はコロナ禍の後、経済を活性化するために、「両新一重(二つの新、一つの重)」(新型インフラ建設、新型都市化、交通、水利などの重大プロジェクト)の三つを重点的に推進し、内需の拡大、消費の促進、人々の生活改善を目指している。

 2023年の初めに、中国はすでに五つの重大水利プロジェクトを新たに着工した。そのうちの一つである福建省(Fujian)金門(Jinmen)給水源保障プロジェクトは、2月20日に福建省晋江市(Jinjiang)で建設が始まった。このプロジェクトは、中国が推進する150の重大水利プロジェクトの一つであり、総投資額は31億3000万元(約609億円)で、ダム湖の連結と水源地の保護の二つの主要なプロジェクトの建設からなり、総工期は41か月としている。このプロジェクトが完成すれば、福建から金門への給水源保障レベルが大幅に向上し、台湾との融合的発展を深めることができるだろう。 

 5G、人工知能(AI)、ビッグデータなどの「新インフラ」なるものが中国経済の新たな代表となっているが、経済社会の発展全体を見ると、短期間で新インフラが従来のインフラから取って代わることはできない。水利、交通、エネルギーなどの重大プロジェクトは、民衆の生活に密接に関連し、生産システムを安定させ、基本的な民生を保障するための重要で必要なものだ。

 中国水利部によると、2022年には47件の重大水利プロジェクトが着工され、投資規模は4577億元(約8兆9023億円)に達している。これは史上最多の着工件数と最大の投資規模となっている。中国は現時点でも、世界最大かつ最も広範囲で、受益人口が最も多い水利インフラシステムの構築を実現させている。(c)CNS/JCM/AFPBB News