シャンシャンに永明親子 中国に戻ったパンダたちはどうしてる?
このニュースをシェア
【3月13日 CGTN Japanese】上野動物園で生まれたジャイアントパンダのシャンシャンが2月21日に中国へと出発し、翌22日には和歌山のアドベンチャーワールドに暮らしていたオスの永明(えいめい)とその子ども、双子の桜浜(おうひん)、桃浜(とうひん)姉妹も中国へ渡りました。
あれから半月がたち、4頭はどうしているのでしょうか。近況を、中国ジャイアントパンダ保護研究センター雅安基地と成都ジャイアントパンダ保護研究基地にそれぞれ問い合わせました。
■まずはおさらい 中国のパンダ保護機関は大きく2つ
中国のパンダ保護機関は主に、「中国ジャイアントパンダ保護研究センター」(略称:パンダセンター)と「成都ジャイアントパンダ保護研究基地」(略称:パンダ基地、または成都パンダ基地)の2つに大別されます。
シャンシャンの両親、リーリーとシンシンはパンダセンター管轄下・臥龍(がりゅう)神樹坪(しんじゅへい)基地の出身で、永明は成都パンダ基地の出身です。そして今回、シャンシャンはパンダセンターの雅安(があん)碧峰峡(へきほうきょう)基地に、和歌山の3頭は永明のふるさとと言える成都パンダ基地に返還されました。
永明たちが暮らしたアドベンチャーワールドは、1994年に成都パンダ基地の日本支部となっており、「ブリーディングローン制度」(希少な動物を絶やさないよう、動物園や水族館同士で動物を貸したり借りたりする制度)を通じて、ジャイアントパンダの自然繁殖の共同研究を実施しています。そのため、アドベンチャーワールドと成都パンダ基地のつながりは深く、永明親子がこの基地に戻るのは自然な流れと言えます。
■シャンシャンまもなく一般公開か 「伯父とリモート面会」も?
シャンシャンが暮らしている雅安碧峰峡基地は、省都・成都市(Chengdu)から150キロ離れた場所にあり、成都パンダ基地より広大な383万平方メートルの敷地を有しています。パンダの楽園と呼べる環境とされています。
同基地にシャンシャンの近況を問い合わせたところ、現在は入国後の検疫のために隔離を続けているものの、早ければ今月中にも一般公開される可能性があるとのことです。さらに、面白い話も聞くことができました。シャンシャンにリモートで会いたがっているパンダが現れたというのです。それは、山東省威海(いかい)市の動物園にいる仙子(シュエンズ)というパンダで、実はこの仙子は、シャンシャンの母・シンシン(中国名:仙女)の双子の兄です。つまり、シャンシャンの伯父に当たります。シャンシャンの帰国を受けて、この動物園が「伯父と姪をリモートで会わせたい」と提案しているというわけです。
この話はすでに実現の方向で進んでいるそうで、2頭がどんな反応をするのか、今から楽しみです。
■永明親子は24時間体制でモニタリング 早くも今月中一般公開へ
一方の成都パンダ基地でも、永明、桜浜、桃浜の3頭が検疫のための隔離を続けています。隔離期間は1カ月ほどの予定で、シャンシャンと同じく、早ければ3月下旬に一般公開される可能性もあるということです。
隔離期間中は、飼育員が3交代制の24時間体制で永明たちの体調をモニタリングしています。なんと、隔離中のパンダを世話する飼育員は、ウイルスや細菌を持ち込まないよう、期間中は外の社会との接触を一切しないのだそうです。食事も他のスタッフが運んでくるという徹底ぶりです。
気になる永明たちの体調ですが、長旅で疲れていることや、中国と日本の竹に違いがあることなどから、多少は不調もあるものの、食欲は十分で、排泄物にも異常はないということです。春を迎えてまもなくタケノコのシーズンを迎えるため、飼育員は永明たちの食事メニューにタケノコを加えて栄養を増やそうと検討中だとのことでした。
日本で大きな愛を受けて育った4頭のパンダたち。別れを惜しみながら大勢の人々に見送られましたが、四川省にあるそれぞれの施設で一般公開され、再会できる日はそう遠くはなさそうです。