西岸で衝突激化、パレスチナで武装集団「ライオンの巣」が台頭
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【2月28日 AFP】イスラエル占領下のヨルダン川西岸(West Bank)でパレスチナ人とイスラエル側の衝突が拡大している。西岸のパレスチナ自治区エリコ(Jericho)近くでは27日、米国籍も持つイスラエル人がパレスチナ武装勢力によるとみられる銃撃で死亡。26日には西岸北部の町フワラ(Huwara)をユダヤ人入植者数十人が襲撃して、家屋や自動車に放火した。
フワラへの襲撃は、ユダヤ人入植者2人が撃たれて死亡したのを受けて発生した。フワラの当局者によると、30軒の民家が焼かれたり、破壊されたりしたほか、100台以上の自動車に火が放たれた。
イスラエル軍当局者は、300〜400人が「報復」のために現地に入ったと説明した。イスラエル警察の広報担当者はAFPに対し、8人のイスラエル人が逮捕されたが、大半が釈放されたと明らかにした。
ヨルダン川西岸にはパレスチナ人約290万人が居住しているほか、国際法では違法と見なされているイスラエル政府公認のユダヤ人入植地に入植者約47万5000人が住んでいる。
ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)右派政権で財務相を務め、自身も入植者のベザレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)氏は西岸の入植地に関連して、「われわれの土地に新たな地域や町を建設していく」と入植地拡大を示唆した。
■台頭する「ライオンの巣」
西岸北部の都市ナブルス(Nablus)では22日、イスラエル軍部隊が中心部にある旧市街を急襲し、パレスチナ人11人が死亡、80人以上が負傷。ここ20年近くで最大規模の犠牲者が出た。軍は、パレスチナ武装勢力による差し迫った脅威があるとの情報に基づいた作戦だったとしている。
この作戦が展開されたナブルス旧市街は、新たな武装グループ「ライオンの巣(Lions' Den)」が台頭する今回の衝突激化の焦点となっている。
イスラエル側は、同グループが昨年10月のイスラエル軍兵士殺害を含めた複数の襲撃事件に関与していると非難している。
ライオンの巣は、テレグラム(Telegram)に投稿した23日の声明で、22日の襲撃以降に「50人近く」が新たにグループに加わったと主張した。
ライオンの巣は、パレスチナ解放機構(PLO)内の最大組織ファタハ(Fatah)やイスラム組織ハマス(Hamas)、イスラム聖戦(Islamic Jihad)に関連する若い戦闘員による緩やかな連合体として昨年夏に結成された。グループは、テレグラムでの情報発信を通じてパレスチナ人の間で爆発的に人気が拡大した。(c)AFP