【2月27日 東方新報】中国南部の広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)南寧市(Nanning)に住む女性、余(Yu)さんは2月初め、10歳の娘が買ってきたキーホルダーを見て驚いた。

 四角い本のような形の表面に大きな文字で「跪求二奶(求む愛人)」と書かれ、小さなピンクの文字で「別荘・高級車付き、カネは使い放題」とも書かれていた。反対側には、オオカミのような耳をつけてパンツだけをはいた男の子が女の子を押し倒そうとするイラストが付いていた。娘さんは学校近くの文房具店で、このキーホルダーを3元(約58円)で買ったという。

「こんな性的で低俗な物を子ども向けに売っていいのでしょうか?」余さん親子の話を中国メディアが報道すると、インターネット上で一気に注目が集まった。南寧市の市場監督局はすぐに文房具店を特定し、問題のキーホルダーの販売を中止・破棄させた。

 その後もマスコミの報道やネットの書き込みで、他の「性的文具」の報告が相次いだ。キーホルダーやトランプ、ステッカーなどに「春心蕩漾(色気の芽生え)」「私が急に色狼(スケベ)に変身しても、純真な心は理解して」などと書かれたものが、各地の小学校近くの雑貨屋や文房具店で、1~5元(約19~97円)程度で販売されていた。問題の商品を店頭に並べていた店主たちは「いちいち細かく商品を見ていなかった」「よく見れば確かに問題だ」などと弁明している。

 他にも「ナンパ許可証」とうたった手帳もあり、「同志が孤独に耐えられず、どうしてもカワイコちゃんが必要な時、この証明書を特別に発行します」と記されている。さらに最近は、下着姿の美少女フィギュアで、下着の取り外しができる商品も「低俗」と批判が上がっている。

 弁護士の呉旭夢(Wu Xumeng)さんは「性的内容を示唆する文房具や玩具の製造・販売は未成年者保護法違反の疑いがある。内容が悪質な場合は、営利目的のわいせつ物の流布として刑法に違反することもあり得る」と指摘する。

 子どもが精神的に成長する過程で恋愛や性に関心を持つことは自然ななりゆきだが、その気持ちを商売に悪用するのは別問題だ。中国教育科学研究院の儲朝暉(Chu Zhaohui)研究員は「こうした文具や玩具は小さな工場で作られており、商品の質も悪い。行政機関が監督を強化し、処罰すべきだ」と訴えている。(c)東方新報/AFPBB News