■波状攻撃を撃退

 西側諸国は何週間も逡巡(しゅんじゅん)した末、ついに最新型戦車のウクライナへの供与を開始した。さらにヴォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領が要望するリストには、戦闘機も含まれている。

 ヘルメットカメラ、高性能ライフル「AR15」、防水防寒迷彩服といった最新装備に不足はないように見える。だが「航空戦力」があれば、ロシア軍の空爆や、大規模な波状攻撃に対して防衛上有効だと「ウイルス」は述べた。

 ロシア側は攻撃する際、10人単位の五つのグループを次々と送り込んでくるという。ウクライナ側の狙いは、その波状攻撃の第1波を一掃することだ。

「第5波が来る頃には、銃の装填(そうてん)が間に合わなくなり、塹壕(ざんごう)にたどり着かれてしまう。とにかく殺している時間がないからだ。相手側は兵士の命など何とも思っていない」

■ウクライナの抵抗の支えは

「ウィッチャー」部隊は、かつて高齢者が住んでいたと思われ、今は無人になっている民家を拠点にしている。乾麺やビスケット、菓子、甘い紅茶でエネルギーを補給する。

 花柄の壁紙が貼られた居間の床には弾薬箱がふたを開けたまま放置され、食器棚や陶器の置物のそばに不釣り合いな半自動小銃が立て掛けてある。

 紛争終結の兆しが見えない中、ウクライナの抵抗を支えてきたのは士気の高さと共通の目的意識だと、兵士たちは口をそろえる。

「スパイダー」というコードネームの兵士は無線手だが、ウクライナからロシアを追い出し、平和を確保するためなら何でも引き受ける覚悟があると語った。「求められれば機銃掃射もする。対戦車システムだって操作するつもりだ」 (c)AFP/Phil HAZLEWOOD