【2月19日 CNS】中国では今年の春節(旧正月、Lunar New Year、2023年は1月22日)、花火が再び話題となった。日本では花火といえば夏のイメージだが、中国では春節の風物詩だ。大みそかに爆竹の音を鳴り響かせる風習は唐代に始まり、長い歴史を誇る。

 しかし1990年代 以降、環境保護や安全性の問題から、中国の多くの都市が花火を禁止し始めた。1992年に広州市(Guangzhou)が最初に使用を禁止し、1993年には北京市が続いた。2017年には、1208の県と市が花火を禁止した。上海ディズニーランド(Shanghai Disney Land)も、花火ショーの伝統を光のショーに変更した。

 しかし、中国の花火産業は伸び続けている。2020年、米国は3億7000万ドル(約498億2420万円)の花火を輸入したが、うち3億5000万ドル(約336億6500万円)が中国製だった。日本の花火もかなりの部分が中国で生産されている。

 長い間、中国の花火市場は家庭用が中心だったが、2008年の北京五輪が転機になった。花火業者の張楊(Zhang Yang)さんは「昔は花火の出来の良しあしは、スペックなどから客観的に評価されていた。今では、文化的かどうか、創造的かなど表現を重視して、判断されるようなっている」と説明する。

 創造性やデザイン性が重視され始めた中国の花火は、ニューヨークの新年花火ショーや中東・サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会開会式など、国際的な大規模イベントにも頻繁に登場するようになった。

 中国の花火会社は、より安全で環境に優しい花火を追究している。近年の中国の花火製造では「煙が少ない」「硫黄がない」「粉じんが少ない」の3点が重視されている。このため、多くの中国の花火会社が日本の技術を参考にするため、技術者を派遣している。

 今年は、中国の一部地域で花火や爆竹に関する規制が緩和された。たとえば、遼寧省(Liaoning)大連市(Dalian)では大みそかに時間無制限で花火を打ち上げることができるようになった。山東省(Shandong)の東営市(Dongying)と浜州市(Binzhou)では、特定の地域と特定の時間帯に限り、花火と爆竹を打ち上げられるようになった。

 アカウント名「平老虎(Pinglaohu)」さんは「暗い夜に目の前で花火が爆発すると、一瞬耳が聞こえなくなり、同時に火薬の匂いが漂ってくる。そのリアルの感覚は、100インチの大画面テレビで観る壮観な花火に比べても引けを取らない」とコメントしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News