進む中国の工業排水リサイクル 都市の下水も再利用
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【2月15日 People’s Daily】世界最大の工業国である中国では、2021年に消費した工業用水は1049億6000万立方メートルに達し、全国の総水消費量の17.7%を占めている。中国の1人当たりの水資源は世界平均の約4分の1に過ぎず、節水は重要な課題だ。鉄鋼・石油化学産業の水利用効率は先進国レベルに達しているが、一部の産業では技術的欠点から改善の余地がある。工業廃水には窒素やリン、水に溶けない浮遊物質に加えて、処理の難しい重金属や油などの有害物質が含まれている。
長年の努力により、中国の工業排水リサイクルは目覚ましい成果を上げている。中国の工業排水量は2010年の237万トンから2019 年には134万トンに減少した。一定規模以上の企業で工業用水のリサイクル率は2015年の89%から2021年には92.9%に増加。2020 年の工業付加価値1万元(約19万3000円)あたりの水消費量は2015年に比べて39.6%減少した。
産業別に見ると、鉄鋼産業の工業廃水リサイクル率は97%、石油化学産業は95.2%に達した。「第13次5か年計画(2016~2020年)」の期間中、鉄鋼産業の大規模・中規模企業は、工業廃水を約3億立方メートル削減した。
工業排水のリサイクルを進めるカギは、技術革新だ。
山東省(Shandong)淄博市(Zibo)では、企業と大学が協力してウオータージェット織機の稼働時に発生する廃水のリサイクル技術を開発。工業用水のリサイクル率は6%増加し、年間の節水コストは200万元(約3860万円)だった。
多くの企業はビッグデータやクラウドコンピューティング、デジタル管理などの新技術を活用し、工業廃水のリサイクルを加速させている。
四川省(Sichuan)瀘州市(Luzhou)では水の再利用や下水処理、循環水の生産設備に監視システムを導入。工業廃水の排出量が標準通りか、生産設備が順調に稼働しているかなど、総合コントロール室の大画面でリサイクル作業をリアルタイムで確認している。
天津市(Tianjin)の鉄鋼会社は、隣接する市下水処理場でリサイクルされた水を利用。廃水ゼロと地下水の開発ゼロを達成した。 北京市内の工業団地でも下水利用が広がっている。
ただ、2020年における全国の都市の再生水利用率は約24%にとどまっており、工場での利用拡大が重要となっている。
中国工業情報化省など6部門が2021年末にまとめた「工業廃水再利用計画」では、一定規模以上の企業における工業用水の再利用率を2025年には約94%に高めることを明記。工業付加価値1万元あたりの水消費量を2020年より16%減少し、工業廃水の効率的なリサイクルシステムを形成する計画だ。(c)People’s Daily/AFPBB News