【2月6日 東方新報】中国では2020年ごろから、「臨期食品」と言われる期限切れ間近の食品のディスカウントストアが登場し、若者を中心に人気を集めている。そして昨年から「規格外・端切れ食品」を意味する「辺角料食品」が新たなブームとなっている。

 規格外食品は、中身の一部が欠けたビスケット、チョコレート、せんべい、クルミ、ドライマンゴーなど、通常は出荷せずに破棄される商品を3分の1から10分の1程度の価格で販売。見た目や形によってはじかれたソーセージやハム、肉のぶつ切りなどもある。

 主にインターネットを通じて販売され、「味は一緒で値段は格安」と新しい一つのジャンルとなっている。ビッグデータの分析によると、あるプラットフォームでは2022年第1四半期だけで規格外スナックの売り上げが2030万元(約3億9396万円)に達した。

 上海市の20代女性の張さんは「格安で買ったパンの耳を揚げたり、ハムをトッピングしてピザを焼いたり。残業で夜遅くに家に帰り、ネットドラマをボーッと見ている時につまむのにピッタリです」と話す。

 規格外食品は安さだけでなく、「食品ロスを減らす賢い買い物」としても注目を集めている。若い女性に人気で「中国版インスタグラム」とも言われるSNS「小紅書(Red)」では、規格外・端切れ食品だけで作った「映える」料理の投稿写真が増えている。

 だが、人気の高まりと共に、問題点も次々と指摘されるようになっている。

 ネットで注文したところ、包装に生産者や製造年月日、原材料の表示が不十分な商品も少なくない。あるユーザーが発売元の会社に問い合わせると、「商品は本物ですが、生産過程の余剰品なので通常の包装とは異なる」と説明されたという。食品業界の専門家は「よっぽど大規模な食品加工工場でない限り、そもそも余剰物は少ない。それに大手の企業は積極的に規格外商品を販売しない」と指摘。出自や入手ルート不明の規格外食品も多いのが現状だ。「高級食品の規格外を格安で販売」という宣伝を信じて購入したところ、後で調べてみると正規の商品より値段が高かったケースもある。

 中国人民大学(Renmin University of China)法学院の劉俊海(Liu Junhai)教授は「格安の規格外食品は消費者に利益をもたらし、企業もコスト削減ができるという意味ではウィンウィンの関係と言えるが、何よりもまず食品安全法に基づく安全基準を満たしていないといけない」と指摘。中国法学会消費者権益保護法学研究会の陳音江(Chen Yinjiang)副事務局長は「電子商務法は、プラットフォームに加盟店の資格審査義務があると定めている。食品や医薬品など国民の生命・健康に関連することで消費者に損害を与えた場合、プラットフォームの責任も問われる」と話し、早急な基準策定や規制強化を求めている。(c)東方新報/AFPBB News