【1月31日 AFP】ポーランドで、精神障害のある少女(14)がおじから性的暴行を受けて妊娠し、合法であるはずの中絶手術を受ける際に困難が生じたことをめぐり、閣僚らが法制度の問題を非難する事態に発展している。同国は人口の大半がカトリック信者で、中絶に関し欧州で最も厳しい法制度が設けられている。

 少女をめぐっては、複数の病院の医師が、信条に反していると認識した場合に中絶手術を拒否できる「良心条項」を行使し、中絶手術を拒否した。

 これを受けてアダム・ニェジェルスキ(Adam Niedzielski)保健相は30日の記者会見で、「今回の事例に衝撃を受けた。われわれの反応は明確だ」と述べた。

 同国では2021年、中絶は性的暴行や母体に命の危険が及ぶ場合を除き、全面的に禁止された。今回の事例が示すように、合法的な中絶でさえも困難に直面することがある。

 問題の存在を公表した人権団体によると、少女には妊娠しているとの認識はなく、妊娠に気付いたおばが中絶手術の手配を試みた。ところが、同国東部の複数の病院の医師が手術を拒否。最終的に同団体が介入し、首都ワルシャワの病院で中絶手術が行われた。

 野党の政治家からは、中絶関連の法改正を求める声が上がっている。同国では2020年に憲法裁判所が中絶をほぼ全面禁止する右派政権寄りの判断を示して以降、中絶問題は政争材料になっている。(c)AFP