■「実態を反映していない」

 毛皮生産組合は「不法侵入」だと無許可撮影を非難し、映像は実態を反映していないと反論。広報担当者は「毛皮農場の完全に誤った姿、一方的な側面を捉えたにすぎない」と強調した。

 同組合は近く事実関係を確認するため農場に獣医師を派遣する予定。広報担当者は「これら四つの農場は、生産者が動物を適切に世話しており、管理運営が徹底され、認証されている」としている。
 
 担当者はその上で、「一般論として、農場に5000匹、1万匹と動物がいれば、急に目や耳の感染症にかかった動物がいてもおかしくはない」と主張した。

■全面禁止求める声も
 
 欧州諸国では、オーストリアや英国を含めて数か国が毛皮農場を禁止しており、新型コロナウイルス感染症の流行を受けてこの流れは加速している。フランスやオランダ、エストニアが追随したほか、デンマークはコロナ感染拡大後に、毛皮農場のミンク全頭の殺処分に踏み切った。

 オーストリアとオランダは2021年、EUに対して毛皮農場を閉鎖するよう求め、ベルギーやドイツ、ルクセンブルク、スロバキアが賛同した。

 これに対し、フィンランドの毛皮生産組合は、EUが基本理念として「人・物・資本・サービスの移動の自由」を掲げている以上、毛皮農場や毛皮取引を禁止すればこうした原則に反すると主張した。

 組合の広報担当者は、フィンランド農村部では毛皮産業は非常に重要で、約3000人の雇用を創出しており、「動物を扱う農村部のその他の家畜産業と何ら変わらない」と語った。(c)AFP/Elias HUUHTANEN