【3月19日 AFP】欧州委員会(European Commission)のマルガリティス・スキナス(Margaritis Schinas)副委員長は18日、欧州連合(EU)はウクライナとシリアからの難民の受け入れにダブルスタンダード(二重基準)は設けていないと主張した。

 EUは、中東の紛争から逃れてきた非白人の難民よりも積極的に、ウクライナ難民を受け入れていると非難されている。

 スキナス氏はトルコ・イスタンブールで記者団に対し、EUの難民政策に出身国による区別はないと主張。「複数の(EU)加盟国はウクライナと国境を接しており、難民が直接圏内に入って来る」ため、シリアとは状況が異なると述べた。

 国連(UN)によると、2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始して以来、300万人以上が国外へ避難した。このうち200万人以上は、EU加盟国である隣国ポーランドに逃れた。

 EUはウクライナ難民を一時保護し、滞在許可や医療や教育を受ける権利、就労の権利を認めている。

 一方、2015年にシリアなどから100万人以上の難民が欧州にたどり着いたときには、こうした保護措置が自動的に適用されることはなかった。

 EUによると、2015年から2016年にかけて亡命が認められたシリア難民は圏内全域で55万人超。一方、2016年にトルコ政府がEUからの財政支援と引き換えに難民受け入れに合意したことから、多くのシリア人はトルコに定住している。

 スキナス氏は、EUはシリア難民への責任を果たしたと主張。「この問題にダブルスタンダードがあるとは思わない」と述べた。(c)AFP