【1月10日 AFP】ブラジルの首都ブラジリアでジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領(67)の支持者に襲撃され、大統領府や最高裁、連邦議会の建物および高価な美術品が被害を受けた。

 建物の中には、国内美術作家の作品のほか、各国から寄贈された作品なども多数置かれていた。

 最高裁前に置かれた高さ3メートル以上ある花こう岩製の「正義」の像は、ブラジル人彫刻家アルフレド・セスキアッティ(Alfredo Ceschiatti)が1961年に手掛けた作品。目隠しをして剣を膝に置いて座る女性像の胸の部分にスプレーで落書きされた。

 大統領府では、フランス国王ルイ14世(Louis XIV)お抱えの時計職人が手掛けた優美で精巧な時計が倒され、大きく破損していた。

 ブラジル近代美術の巨匠エミリアーノ・ディ・カバルカンティ(Emiliano Di Cavalcanti)の絵画には、刃物による損傷が7か所あった。大統領府は同作品について「推定価格は800万レアル(約2億円)」だが、同様の作品が競売で5倍の値をつけることも珍しくないと説明した。

 また、ブラジル人建築家オスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)と娘がデザインし、ブラジリアの都市建設計画を進めたジュセリーノ・クビチェック(Juscelino Kubitschek)元大統領が使っていた机はバリケードとして使われ、破損していたとしている。

 窓ガラスが多数割られた3棟の建物自体も、ニーマイヤーによる近代建築の粋として知られる。

 国立歴史美術遺産院(Iphan)は「極めて残念」とコメントを発表し、近く専門家による調査を行い、どの程度の修復が必要か確認するとしている。(c)AFP/Louis GENOT