【1月10日 AFP】国連環境計画(UNEP)は9日公表した報告書で、破壊が最も顕著だった南極上空のオゾン層が、2066年ごろには面積、厚さともに回復するとの見通しを示した。北極圏では2045年ごろ、その他の地域では2040年ごろに完全に回復する見込みとしている。

 報告書はUNEPが世界気象機関(WMO)や欧米政府機関と共同でまとめた。それによると、オゾン層を破壊する化学物質の使用禁止をめぐり約200か国が合意した1987年の「モントリオール議定書(Montreal Protocol)」が期待通りの効果を発揮している。

 科学者約200人が参加する「オゾン層破壊に関する科学的評価(Scientific Assessment of Ozone Depletion)」の共同議長を務める英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のジョン・パイル(John Pyle)教授は、「オゾン層は回復している。これは朗報だ」とAFPに語った。

 オゾンは生物に有害な太陽の紫外線の大半を遮断する一方で、地表近くでは光化学スモッグの主原因となる。

 今回で10回目となる報告書では、人口の多い熱帯・中緯度地方の成層圏下部のオゾン層が予想外に減少していることも指摘された。(c)AFP/ Marlowe HOOD / Rochelle GLUZMAN