■政治的な宣伝工作で役割

 自由ロシア軍団の戦争遂行努力における貢献は、戦場以外でより大きな意味を持つと解説するのは、軍事専門家のオレグ・ザダノフ(Oleg Zhdanov)氏だ。

 ザダノフ氏は軍団について「戦闘行為に参加するものの、数が少ないために大勢には影響しない」と指摘する。その上で、「その重要性は政治的な側面にある。民主主義や自由を支援し、正しい側で戦うロシア人が存在することを示せるのはウクライナにとって好都合だ」との考えを示す。

 ソーシャルメディア上では、軍団は主にプロパガンダ動画を投稿し、数千人の入隊希望者がいるとしている。

 サンクトペテルブルク(St. Petersburg)出身で理学療法士として働いていた報道担当のカエサル氏は、入隊したのは政治的な動機があったためだと明かした。

 自身を「右派のナショナリスト」と形容するカエサル氏は、プーチン政権は武力でしか打倒することができないと考えている。
 
 カエサル氏は「ロシアは死につつある。地方に行けば、酔っ払いや薬物依存者、犯罪者が目に付くだろう。民衆は苦しんでいる」と訴える。20年もプーチン政権が続いたことが原因なのは明らかだと強調する。

「プーチンを支える体制や政府、側近のすべてが最低だ。敗者であり、地位を悪用した泥棒だ。金や快楽のために生きることにしか関心がない。国家を運営できるわけがない」と断じた。

 ロシアが昨年2月にウクライナに侵攻した後、カエサル氏は妻と4人の子どもをキーウに連れて来た。家族がウクライナにいることで自由に発言でき、家族の身もより安全だと考えている。

「家族の皆も爆撃の恐怖におびえ、寒さの中での暮らしを余儀なくされている。だが、私の選択に賛成している」と話した。(c)AFP/Cécile FEUILLATRE