【1月4日 AFP】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル、Yoon Suk-yeol)大統領は4日、北朝鮮が再び領土侵犯を犯すならば、海上に緩衝区域を設けている2018年の南北軍事合意の停止を検討すると述べた。

 この軍事合意は、軍事境界線沿いの緊張緩和を目的に締結され、両国は「非武装地帯(DMZ)における互いを標的とした軍事演習の中止」にも同意していた。

 だが北朝鮮は昨年、合意で指定された緩衝海域に向けて飛翔(ひしょう)体を発射したほか、年末には無人機5機を韓国領空に送り込むなど、合意に繰り返し違反した。

 これを受けて与党議員から、文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)前政権が結んだ合意の撤廃を求める声が上がっていた。

 尹大統領の報道官は記者らに対し、尹氏が4日、「北朝鮮が再び領土侵犯を伴う挑発行為に及んだ場合には、軍事合意の停止を検討する」よう国家安保室に指示したと述べた。

 この合意について、韓国統一研究院(KINU)の研究者は、北側の違反があっても「大規模な軍事衝突を防ぐ」という点においては有効だったと指摘。「もし尹氏が公式に、政治的に合意を撤廃すれば、全く違う話になる」との見方を示した。(c)AFP