■新型コロナで趣味から一転

 コーテスさんがアーティスト活動を始めたのはつい最近だ。これまでは営業職に就いたり、建設関係やホームレスの保護施設などで働いたりして生計を立ててきた。

 しかし、新型コロナウイルスの流行で生活が一変した。趣味だったミニチュア作りに力を入れざるを得なかった。

 最初の作品をソーシャルメディアに投稿したところ、すぐに人気が広がった。

 伝説的ラッパー、ナズ(Nas)さんとも契約を結ぶ音楽レーベル「マスアピール(Mass Appeal)」は、コーテスさんにラジカセの模型制作を依頼した。完成した作品は、DJプレミア(DJ Premier)さんのミニアルバム「Hip Hop 50: Vol. 1」のジャケットに使われた。

 2022年3月には、サザビーズが企画したヒップホップ関連の競売にコーテスさんの作品4点が出品され、そのうちの1点2200ドル(約30万円)で落札された。

 かつてトミー・ボーイ・レコード(Tommy Boy Records)を率い、現在サザビーズの相談役を務めるモニカ・リンチ(Monica Lynch)氏は、コーテスさんの作品について「90年代スタイルのヒップホップ作品の多くが生まれた(地域の)汚れた、ざらついた雰囲気をよく捉えている」と話した。

 コーテスさんは、ミニチュア作りでブッシュウィックをはじめとする「大きく変わりつつある」場所を記録したいと語る。ブッシュウィックは今やアート系の人からも人気の街で、ジェントリフィケーション(都市の富裕化)の象徴ともなっている。だが、コーテスさんはこうした変化に肯定的だ。

「いいことだと思う。安全になるから。でも、ブッシュウィックはいつだってブッシュウィックのままだ」とコーテスさんは話した。(c)AFP/Andrea BAMBINO