【12月30日 AFP】メキシコ・シウダフアレス(Ciudad Juarez)に接する米テキサス州エルパソ(El Paso)。この街に住むロサ・ファルコンさんは、必死の思いで越境してきた移民に対し、一時的に身を寄せる場所として自宅を提供している。

 寒空の下で大勢の人々が身を寄せ合う光景は、ファルコンさんにとって耐え難いものだった。「さまざまなことを乗り越えてきた人たちがあてどもなく路上に放置されているなんて、おかしいです。人の道に外れていると思います」

 2020年にドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権が導入した移民抑制措置「タイトル42(Title 42)」の失効を当て込み、このところ中南米からの移民が国境に殺到。タイトル42は当初、12月21日午前0時に失効予定だったが、米連邦最高裁は27日、共和党優位の各州の反対意見を考慮し、同措置を一時的に延長させる命令を下した。

 移民の多くはコロンビア-パナマ国境のダリエン地峡(Darien Gap)のジャングルを抜け、米メキシコ国境のリオグランデ(Rio Grande)川を渡り、着の身着のままで空腹と疲労を抱えて到着する。

 12月26日、国境にいたAFPの取材班は、10分ほどで10人がフェンスの穴をくぐって越境するのを目撃した。当局の確認を経ても、多くは再び路上に戻され、ファルコンさんのような市民の善意に支えられて数日間を生き延びることになる。

 学校教師のファルコンさんは、ボランティア仲間や地元の教会と移民を支援するネットワークを築いている。冷え込んだ日の夜には家族そろって車で街を回り、助けを求める人々に手を差し伸べた。

 自宅の居間では常に4〜5人の移民が寝泊まりしている。ポケットマネーで食事や、時には衣服も提供している。「知らない人たちですが、家族のような気がしています」と話した。(c)AFP/Paula RAMON