■「自分が死ぬことにさえ謝罪する」人々

 主演のナイは、映画『ラブ・アクチュアリー(Love Actually)』などで見せた粋で社交的な役で広く知られる。

 先月、米ハリウッド(Hollywood)で開催されたアメリカ映画協会(AFI)主催の映画祭「AFI Fest」でのプレミア上映会でAFPの取材に応じたナイは、「ごく抑えた演技で非常に大きなものを表現する」という点が、面白い挑戦だったと語った。

 また、「あの時代に英国と日本で人々が自らに課していた抑制の強さに興味を引かれた」というナイは、当時の人々について「精神科であれば、極めて不健康だと診断されるだろう」とし、ウィリアムズのような几帳面な男たちは「死ぬべき時が来たようだ、誠に申し訳ない」などと言って「自分が死ぬことにさえ謝罪する」だろうと述べた。

 イシグロ氏はナイについて「偉大で優れた俳優の一人でありながら、一作品全体で圧倒的な存在感を発揮するチャンスがなかったように常々感じていた。もし主役で適した役さえあれば、皆がその偉大さを知るはずと思っていた」と話し、ナイを念頭に脚本を執筆したと明かした。

 これについてナイは、「私は前世で良い行いをしたに違いない」と冗談で応じた。(c)AFP/Andrew MARSZAL