■風味は「インド風」

 ムンバイに拠点を置くワイン・蒸留酒のコンサルタント企業ハッピーハイ(Happy High)の創業者、アジット・バルギ(Ajit Balgi)氏は、高価格帯の国産ワインの品質は、世界のワインに肩を並べるようになったと指摘する。ただ、風味は「インド風」なままだという。

 バルギ氏によると、インド産ワインはオーストラリアやフランス産と同じ味にはならないという。「赤道に近過ぎるため、ブドウが他よりも熟しているからだ」

 インドのワイン消費量は、1995年はないに等しかった。女性の就業が拡大するとともに、女性の公の場での飲酒も許容されるようになり増加しているが、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によると、昨年の消費量は2000万リットルにとどまった。

 バルギ氏は、ワイン産業拡大の最大の障壁はコストだと指摘する。

 ワインは蒸留酒よりもアルコール度数がはるかに低いにもかかわらず、蒸留酒と同程度の税金を課している州も多い。

 バルギ氏は「通常のインド産ワイン1本の価格は、ラム酒やウイスキーの通常サイズ1本と同じだ」「大衆には手が届かない価格のため、ワイン消費が伸びない」と述べた。

■ワインブームは起きない?

 専門家は気候変動がブドウ栽培に与える影響や、貿易協定に基づくオーストラリア産ワインの輸入関税引き下げなどにより、国内生産者が期待するようなブームは起きにくいとの見解を示している。

 インドではワインに150%の輸入関税がかけられているが、最大の輸入元となっているオーストラリア産については貿易協定により引き下げられることになった。

 スーラは、外国産ワインとの競争激化に加え、気候変動がブドウの品質に与える影響を懸念している。

 ムンバイに拠点を置く世界資源研究所(WRI)のインド事務所で、気候計画のマネジャーを務めるプルタ・バゼ(Prutha Vaze)氏によると、ナシクの農家は10年近く前に既に洪水や干ばつを報告していた。

 平均気温が上昇すると、ブドウの成熟が早まり、酸味が少なく糖度が高くなる。これにより、ワインのアルコール度数も上昇する。専門家は、こうした変化がワインの繊細な風味のバランスに影響するとみている。

 バゼ氏は、気候変動に生産者が適応しなければ「チョコレートやワインを口にできる最後の日が訪れるかもしれない」と訴えた。(c)AFP/Glenda KWEK