■夢見る余裕はない

 3人の子供を持つトムさんは解雇されて以降、ホーチミン郊外の路上で、乾麺やエビのソース、オレンジを売っている。

 ホーチミン商工会の副代表によると、ベトナムの輸出業界は今年前半には「能力限界」で操業していたことから、輸出の減速を受けて激震が走っている。

 副代表はAFPに対し、「第3四半期の初めに世界的なインフレを受け、消費需要が減少して注文が止まり、在庫が大きく積み上がった」と語った。

 ただ、こうした状況は一時的なものにとどまる可能性があり、「来年は(現在の減少を)埋め合わせる生産量の増加が見られるだろう」と楽観している。

 ベトナムの低賃金労働者は、同国が中国に代わる主要な製造拠点になるのに貢献してきたが、そうした人々の一人であるニエウさんやトムさんは、何とか生活していく手立てを見つけ出さなければならない。

 ニエウさんは「人生で何を望むかといった夢を見る余裕はなかった。生きるために十分な稼ぎがほしいというのが唯一の願いだ」と話した。(c)AFP/Tran Thi Minh Ha