コロナよりも飢えが怖い…バングラ縫製工場の労働者、賃金未払いに抗議
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【4月14日 AFP】バングラデシュで13日、欧米のファストファッションブランド大手の商品を製造する縫製業の労働者数千人が、賃金未払いに対して路上で抗議を繰り広げた。新型コロナウイルスへの感染よりも飢えることを恐れていると訴えている。
バングラデシュにあるアパレル関係の工場は、同国における400億ドル(約4兆3000億円)規模の輸出部門の約84%を占めている。だが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響により、スウェーデンのH&Mや米ウォルマート(Walmart)、英テスコ(Tesco)といった小売業者が注文をキャンセルしたため、ここ数十年で最悪の危機に直面している。
抗議活動を行った労働者たちは、多くの工場が注文をキャンセルされて以降、従業員に給料を支払っていないと話している。
新型コロナウイルス対策としてロックダウン(都市封鎖)の措置が全国規模で実施される中、労働者たちは道路を封鎖して、「自分たちの給料が欲しい」、「経営者たちの魔の手を断ち切れ」などと叫んだ。
21歳の参加者はAFPに対し、「私たちはコロナウイルスを恐れている。大勢の人がこの病気により命を落とそうとしているのを知っている」「でも、私たちには他に選択肢がない。飢えてしまう。家にいれば、ウイルスから身を守ることはできるかもしれない。しかし、一体誰が私たちを飢えから救ってくれるのか?」と語った。
先月26日から始まったロックダウンが事態に追い打ちをかけ、国内の縫製工場の大半が閉鎖を余儀なくされた。
警察によると、12日に実施された抗議活動には約2万人が、13日には約5500人が参加。「工場のドアや窓ガラスを壊す労働者も中にはいたが、おおむね平和的だった」という。一連の抗議活動での逮捕者はいなかった。(c)AFP