【12月22日 AFP】資産隠しなどの罪で実刑判決を受け、英国で服役していた男子テニス元世界ランキング1位のボリス・ベッカー(Boris Becker)氏(55)は、21日に放送された釈放後初めてのインタビューで、服役中に2度命を狙われ、「兄弟分」に守ってもらったことを明かした。

 ベッカー氏は2017年6月、スペイン・マヨルカ(Majorca)島に所有していた不動産をめぐり5000万ポンド(約80億円)の負債を抱え、破産宣告を受けた。その後、負債の返済を回避するため、250万ポンド(約4億円)の資産などを隠していたとして、2年6月の実刑判決を受けていたが、8か月の服役を経て前週に釈放されていた。

 ドイツのテレビ局プロジーベンザット1(ProSiebenSat.1)の取材を受けたベッカー氏は、3時間に及ぶインタビューの中でたびたび涙を流し、刑務所での夜は「恐ろしかった」とコメント。複数の殺人の罪で25年の刑に服している受刑者ら2人から脅迫に遭ったが、他の受刑者に守ってもらったと明かした。

 ベッカー氏は、「兄弟分」と呼ぶ他の受刑者と親しい関係を築けたことは幸せだったと語り、自分を守ってくれた人たちとは今後も連絡を続けるとした。その一方で、独房の扉が閉まる音は一生自分の中に残り続けるだろうとし、刑務所内は「非常に汚く、危険で、殺人者や児童虐待犯、薬物の売人など、想像しうる全てのタイプの罪人がいた」と説明した。

 今後の居住地については「これからどこに向かうかは言えない」としつつ、出身のドイツになる可能性は低いと述べた。(c)AFP