ジョコ追放にメッシの悲願達成、2022年のスポーツトピック10選
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■ライフセーバーになった水泳コーチ
6月に行われた第19回世界水泳選手権(19th FINA World Championships)では、アーティスティックスイミングのソロ・フリールーティン(FR)決勝で、演技終了とともに気を失った米国のアニタ・アルバレス(Anita Alvarez)をコーチが救出する出来事があった。
コーチのアンドレア・フエンテス(Andrea Fuentes)氏は、Tシャツに短パン姿でプールに飛び込み、アルバレスをプールの底から水面へ引き上げた。フエンテス氏は、「彼女は少なくとも2分間は息をしていなかった。肺が水でいっぱいだったからだ」とコメント。アルバレスはすぐに回復したが、大会に参加し続けることはできなかった。
■リブゴルフが生んだゴルフ界の分断
男子ゴルフでは6月、莫大(ばくだい)な資金を持つサウジアラビアが後援する新リーグ、リブゴルフ・インビテーショナル(LIV Golf Invitational)シリーズが開幕した。3日間54ホール、予選落ちなしという形式のリブゴルフは、多額の契約金を提示して米国のダスティン・ジョンソン(Dustin Johnson)やフィル・ミケルソン(Phil Mickelson)、ブルックス・ケプカ(Brooks Koepka)、ブライソン・デシャンボー(Bryson DeChambeau)といった米ツアー(PGA Tour)のスター選手を引き抜いた。
これをきっかけにゴルフ界は分断され、新シリーズはサウジアラビアの人権問題から目をそらす「スポーツウオッシング」だという批判を受けた。米ツアーは対抗措置として、リブゴルフへ移った選手全員の資格を停止した。
■フェデラーとセレーナが現役に別れ
テニスでは、二人の史上有数のスターが競技に別れを告げた。
男子のロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、長年悩まされた膝のけがが回復せず、9月に41歳で引退。四大大会(グランドスラム)20勝は歴代3位の記録で、ツアー優勝は103回、生涯獲得賞金は1億3000万ドル(約173億円)に上る。
女子のセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)は、「引退」という言葉を使うことを拒み、テニスから離れて「進化する」と話しているが、9月の全米オープン(US Open Tennis Championships 2022)が最後の公式戦となった可能性が高い。41歳のセレーナは、グランドスラムのシングルスで23勝を上げ、1位在位期間は通算319週に達する。また米経済誌フォーブス(Forbes)によれば、2022年の純資産は2億6000万ドル(約345億円)だという。
■チェス界のスキャンダル
9月から10月には、チェス世界王者のマグヌス・カールセン(Magnus Carlsen、ノルウェー)が、グランドマスターのハンズ・ニーマン(Hans Niemann、米国)を不正を行っていたとして批判する騒動があった。カールセンは、ニーマンの不正を公に批判し、チェスの世界的オンラインプラットフォームであるchess.comも、19歳のニーマンがオンラインの試合で「おそらく100回以上も不正を行っている」と報告書で述べた。
ニーマンはその後に訴訟を起こし、カールセンと彼の保有企業、chess.comの関係者、米国のグランドマスターであるヒカル・ナカムラ(Hikaru Nakamura)を相手取って1億ドル(約133億円)の損害賠償を求めている。
■メッシが悲願のW杯制覇
カタールW杯では、メッシがアルゼンチン代表を栄冠に導いた。フランスとの決勝は、延長戦を終えても3-3で決着がつかない激戦となったが、アルゼンチンはPK戦の末に勝利。珠玉のパフォーマンスを見せたメッシは、史上最高の選手の一人としての地位を確固たるものにし、ペレ(Pele)氏とディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏というレジェンドに肩を並べた。
カタールW杯はかつてないほどに物議を醸した大会だったが、最後は歴史に残る現代の名勝負で幕を下ろした。(c)AFP