【12月30日 AFP】2022年のスポーツ界は、男子テニスのスーパースター、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)のオーストラリア追放で始まり、サッカーアルゼンチン代表のリオネル・メッシ(Lionel Messi)のW杯(2022 World Cup)制覇で幕を閉じた。

 ここでは、AFPが2022年のスポーツ界で特に印象的だった10の出来事を振り返る。

■ジョコビッチの豪追放

 ジョコビッチは1月、10回目の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament)優勝を目指してメルボルンに向かった。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンを接種していないことで有名なジョコビッチは、ビザ(査証)を取り消されて入管施設に留め置かれ、「健康と秩序」を理由に退去させられた。

 また、ジョコビッチは米国への入国もできなかったため、全米オープン(US Open Tennis Championships 2022)にも出場できなかったが、7月のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2022)では7回目の優勝を果たした。

 2023年の全豪オープンは出場が認められており、ジョコビッチはそこで22回目の四大大会(グランドスラム)優勝を目指すことになる。

■ワリエワのドーピングスキャンダル

 2月の北京冬季五輪では、ロシアのフィギュアスケート女子選手カミラ・ワリエワ(Kamila Valieva)がドーピングスキャンダルの中心となった。当時15歳のワリエワは、女子選手としては初めて五輪で4回転ジャンプを成功させ、ロシア五輪委員会(ROC)の団体金メダルに貢献した。

 しかしその後、大会前の検査でトリメタジジン(Trimetazidine)に陽性反応を示していたことが発覚。トリメタジジンは狭心症の治療薬だが、持久力を高める効果があることから禁止指定されている薬物だった。スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、ドーピング違反の有無は明らかにせず、ワリエワの年齢を理由に引き続き出場することを認めた。しかし個人戦ではフリースケーティング(FS)で何度も転倒し、4位に終わった。

■シェーン・ウォーンの死

 3月には、オーストラリアの元クリケット選手シェーン・ウォーン(Shane Warne)氏がタイの高級リゾート地で死亡した。年齢は52歳で、死因は心臓発作とみられている。レッグスピン投法を復活させた選手として評価されるウォーン氏は、代表戦通算708ウィケットを記録し、1990年代から2000年代を席巻したオーストラリア代表の一員を務め、引退後は解説者として尊敬を集めた。

 傷心の父キースさんは、「シェーンのいない未来を楽しみにするなど考えられない」としながらも、「シェーンの52年5か月19日の生涯が、ほとんどの人の人生2周分以上に充実していたのは救いだ」と話した。

■ロシアの締め出し

 ロシアは2月にウクライナへ侵攻を開始して以降、同盟国ベラルーシとともにスポーツ界の鼻つまみ者になった。ロシアはサッカーのW杯予選や第18回世界陸上オレゴン大会(World Athletics Championships Oregon 22)から除外され、両国のテニス選手はウィンブルドン出場を禁止された。

 しかしウィンブルドンの女子シングルスは、ロシア生まれでカザフスタン国籍のエレナ・リバキナ(Elena Rybakina)が優勝した。また全米オープンでは、ウクライナのマルタ・コスチューク(Marta Kostyuk)がベラルーシのビクトリア・アザレンカ(Victoria Azarenka)との握手を拒否し、選手間の緊張があらわになった。

■チャンピオンズリーグ決勝の混乱

 5月28日に仏パリのスタッド・ド・フランス(Stade de France)で行われたサッカー欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2021-22)決勝のリバプール(Liverpool FC)対レアル・マドリード(Real Madrid)戦では、多くのファンがスタジアムへ入れないトラブルが発生した。

 チケットを持っているファンも警察から催涙ガスを浴びせられ、路上犯罪の標的となったが、当初彼らはスタジアムへ不法に侵入しようとしたと非難され、欧州サッカー連盟(UEFA)とフランス政府は、正規のチケットを持たないリバプールファンがトラブルの主な原因だと主張した。

 しかし、後にこの認識は誤りであることが判明し、主催者と警備責任者は運営の不備を批判された。フランスの上院は調査を実施し、原因は当局とUEFAの準備不足や、警備員の配置ミスなど、「機能不全の連続」にあるとした。