【12月21日 AFP】フランスサッカー連盟(FFF)は20日、W杯カタール大会(2022 World Cup)に出場した代表メンバーのうち数人が、SNSで「憎むべき」人種差別の標的になったと発表し、法的措置を検討していると明かした。

 人種差別の標的になったのは、18日に行われたアルゼンチンとの決勝のPK戦で、キックを外したキングスレイ・コマン(Kingsley Coman)とオーレリアン・チュアメニ(Aurelien Tchouameni)。フランスは0-2と2-3からそれぞれ追いついて試合をPK戦に持ち込んだが、激戦の末に敗れた。大会期間中、チームはフランス国民の大半から大きな信頼を集め、カタールから戻ってコンコルド広場(Place de la Concorde)で行ったセレモニーでも、約5万人が選手を歓迎した。

 FFFはSNSを使って差別を行った人間を強い言葉で非難し、代表チームのツイッター(Twitter)アカウントで「W杯決勝後に、代表選手数人が差別主義者と、受け入れがたいほど憎むべきSNSでの発言で標的にされた」と発表し、「FFFは彼らを非難し、そうした発言の投稿者を告訴するつもりだ」と続けた。

 政治家もこの件にすぐさま反応して差別を非難すると、野党社会党は訴訟を起こすようFFFに促した。イザベル・ローム(Isabelle Rome)首相付女男平等・多様性・機会均等担当大臣は、差別を「受け入れがたい」と表現した。

 フランス代表の選手が人種差別の標的になるのは、これが初めてではない。決勝でハットトリックを達成したキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)は、欧州選手権(UEFA Euro 2020)のスイス戦でPKを失敗した後に差別の標的になった。

 また欧州選手権では、イタリアとの決勝でPKを失敗したイングランド代表のマーカス・ラシュフォード(Marcus Rashford)、ジェイドン・サンチョ(Jadon Sancho)、ブカヨ・サカ(Bukayo Saka)の黒人3選手も、インターネット上で大量の中傷を浴びた。(c)AFP