【12月18日 AFP】ペドロ・カスティジョ(Pedro Castillo)前大統領の罷免と拘束を受けて反政府デモが広がった南米ペルーで、内陸部の観光地に足止めされていた外国人観光客が17日、クスコ(Cusco)の国際空港に次々と到着し、出国便に乗り込んだ。デモの勢いが弱まる中、ディナ・ボルアルテ(Dina Boluarte)大統領は改めて辞任を拒否した。

 人気観光地マチュピチュ(Machu Picchu)遺跡への玄関口となっているクスコの空港は、デモ隊が12日にターミナルに侵入しようとしたことから閉鎖され、欧州と北米からの観光客をはじめとする約4500人の利用客が立ち往生していた。

 空港は16日に再開され、出国便への搭乗が始まった。マチュピチュ村に取り残されていた約200人は、列車で移動を開始できたものの、途中で線路が巨石にふさがれていたため、そこから2キロ歩き、待機していた車でクスコへ向かったという。

 ルイス・フェルナンド・エルグエロ(Luis Fernando Helguero)貿易・観光相は、「遅くとも18日中には、足止めされていた観光客全員が出国できるだろう」と、国営アンデス通信(Andina)に語った。

 ペルーの人権オンブズマンによると、これまでに国内70か所で道路が封鎖され、デモに関連して19人が死亡、569人が負傷した。

 アルベルト・オタロラ(Alberto Otarola)国防相と軍トップは、抗議行動の激しさは収まってきたとの見方を示した。マヌエル・ゴメス・デ・ラ・トーレ(Manuel Gomez de la Torre)参謀長は、「道路や空港、都市部では徐々に平常を取り戻しつつある」と述べた。

 一方、7日にカスティジョ氏が罷免されたのを受けて大統領に就任したボルアルテ氏は、「私が辞任したところで何が解決するのか」と述べ、議会が選挙の前倒しを決定するまで退陣しないと言明。デモは自然発生したものではなく、組織的かつ暴力的だと非難した。

 デモ隊は、カスティジョ氏の解放とボルアルテ氏の辞任、総選挙の即時実施を要求している。(c)AFP/Moisés ÁVILA, Carlos MANDUJANO