【12月16日 People’s Daily】中国山東省(Shandong)の東営港から20キロ離れた渤海中部の海域で、一列に並んだ高さ100メートル規模の風力発電機がゆっくりとブレード(羽根)を回転させている。山東エネルギー渤海中部海上風力発電プロジェクト部の朱海飛(Zhu Haifei)氏は「ここは通常価格で送電する中国初の洋上風力発電ユニットで、山東省にとっても最初のクリーン発電所です」と興奮気味に語る。このプロジェクトでは16億9800万キロワット時のクリーンエネルギーを発電できる。標準的な石炭を51万9000トン節約し、二酸化炭素排出量を125万7700トン削減することに相当するという。

 近年、洋上風力発電の開発が注目されている。中国生態環境省によると、中国の再生エネルギー発電の設備容量は2021年末段階で10億6300万キロワットに達し、総発電設備容量の44.8%を占める。特に、洋上風力発電の設備容量は世界一。2021年には新たに2603基が設置され、増加した設置容量は前年比276%増の1448万2000キロワットに達する。

 造船グループ「中国船舶集団(CSSC)」傘下の海装風力発電公司の王満昌(Wang Manchang)会長は「中国の洋上風力エネルギーは巨大な可能性を秘めています。エネルギー安全保障を確保し、グリーンで低炭素な社会を促進する上で非常に重要です」と力説する。陸上の風力発電と比べ、洋上風力発電は得られる風力が豊富で発電時間も長い。さらに土地を取得する必要がなく、大規模開発に適している。

 一方で、洋上風力発電は高度な建設技術を要する。王氏は「腐食防止技術が重要。チップやソフトウエアの設計技術も難度が高い。電力網の設置は陸上風力発電よりコスト高になる」と課題を挙げる。

 海洋装備品の急速な性能向上が「海との闘い」を支えている。近年、洋上風力発電の分野では「国内初」「世界最大級」のものが数多く登場している。CSSC傘下の黄埔文冲会社は9月28日、国内初となる2000トン級の第4世代洋上風力建設作業船「白鶴灘」の運用を開始した。10月13日には13.6メガワットの洋上風力発電ユニットの組み立てが完了。ブレードの直径は世界最大で、1基あたりの発電容量はアジア・太平洋地域で最大となる。

 中国国務院発展研究センター企業研究所企業評価研究室の周健奇(Zhou Jianqi)主任は「これら新製品の開発は、中国企業が技術的なブレークスルーを達成したことを示しており、世界の先端技術との差をどんどん縮めている」と話す。

 一方で周氏は「洋上風力発電はまだまだイノベーションが求められている」と指摘。企業が技術を革新するための実験プラットフォームを確立し、産業基盤の欠点の克服、国産の風力発電製品、サプライチェーンマネジメントの強化などが必要とされている。(c)People’s Daily/AFPBB News