【12月16日 AFP】13日に行われたサッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)準決勝でクロアチアを3-0で下したアルゼンチンのリオネル・メッシ(Lionel Messi)は、同大会の舞台でついに運命の日を迎えることになり、母国のレジェンドである故ディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)に肩を並べるチャンスを手にした。

 マラドーナがアルゼンチンに通算2度目にして最後のW杯優勝をもたらし、輝かしくも波乱に満ちたキャリアの中で最高の瞬間を迎えた1986年のメキシコ大会(1986 World Cup)から36年が経過している。メッシは35歳で迎える今大会が間違いなく自身最後のW杯で、2014年のブラジル大会(2014 World Cup)決勝でドイツに敗れて逃したトロフィーを掲げるラストチャンスだと認めている。

 メッシがその瞬間に向けてコンディションを上げていることは、大会開幕の数か月前にフランス・リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)で見せていたプレーからも明らかで、今大会では時間を無駄にできない選手のようなパフォーマンスを披露している。

 10代でW杯デビューを果たしてから16年が経過したメッシは、今大会でようやく決勝トーナメント初得点を挙げ、ベスト16からここまで3試合連続でネットを揺らしている。

 クロアチア戦のゴールがW杯通算11点目となったメッシは、ガブリエル・バティストゥータ(Gabriel Batistuta)を抜いてアルゼンチン代表のW杯歴代最多得点記録保持者となった。またW杯通算出場試合数は25となり、元ドイツ代表DFのローター・マテウス(Lothar Matthaus)と並び歴代最多タイとなっている。

 今大会で5ゴールを挙げているメッシは、フランスのキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)と並んで得点ランキングで首位タイとなっているが、そのアシストは同選手が年齢を重ねる中でいかに進化してきたかをより確信させるものだった。

 所属するPSGではエムバペの得点のお膳立てに身をささげているメッシだが、アルゼンチンでも若手FWフリアン・アルバレス(Julian Alvarez)のために同様のプレーを見せている。

 アルゼンチンのリオネル・スカローニ(Lionel Scaloni)監督は「われわれがアルゼンチン人だからメッシを史上最高の選手に挙げていると思われるときもあるが、それについては一切疑いないと思っている」とコメントした。

「彼を指揮して、そのプレーを目にすることができるのは光栄だし、スリリングだ」

 アルゼンチンの決勝進出は、全てがメッシのおかげというわけではない。応援歌「ムチャチョス(Muchachos)」の歌声を響き渡らせるなど、準決勝の会場を事実上のホームに変えた、熱狂的なサポーターの存在もある。

 スカローニ監督は、偉大なレジェンドを中心に据える有能なチームを築き上げ、マラドーナの没後最初のW杯でチームを決勝に導いた。

 アルゼンチン人たちはこうなる運命だったと感じているかもしれないが、開催国のカタールも喜んでいるに違いない。

 長く所属したスペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)を約1年半前に退団し、カタール資本のPSGに移籍したメッシの存在は、ドーハでの決勝を明るく照らすだろう。

 しかし決勝では、PSGのチームメートであるエムバペが、メッシの栄光への道に立ちはだかることになる。(c)AFP/Andy SCOTT