【12月9日 AFP】ドイツ内務省は8日、中国の「警察署」少なくとも2か所が国内に設置されていることが確認されたと明らかにした。反体制派への嫌がらせに使われると批判されている中国の海外拠点に対する新たな懸念が広まっている。

 同省は連邦議員からの質問に対し、独国内にある「中国警察署」は固定した事務所を持たず、中国系の民間人が監督しており、「政府はこの件に関して中国大使館に問い合わせている」と回答した。

 情報公開を請求した同議員は、政府が要求されて初めて詳細を明らかにしたのは「完全な不祥事」であり、こういった存在を「漫然と受け入れている」と糾弾した。

 スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」は先に、中国が世界各地に54の海外警察署を設置し、中国共産党への批判者を標的にするために利用していると指摘していた。

 ドイツは、政府に批判的な著作によって母国で投獄された作家の廖亦武(Liao Yiwu)氏や、民主活動家でノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者の劉暁波(Liu Xiaobo)氏の妻である劉霞(Liu Xia)氏をはじめ、著名な中国の反体制者を受け入れている。

 外国に設置された「中国警察署」をめぐる懸念は広がる一方となっている。8日にはチェコ外務省も、首都プラハに設けられていた2か所を中国側が閉鎖したと明かした。

 オランダ当局は10月、国内に同様の施設があるとする報道について調査しているとしていた。また今月には駐カナダの中国大使が、トロント周辺に施設があるとの報道をめぐり呼び出しを受けた。

 これについて中国側は先に、外国で警察活動を実施している事実はないと否定。これらの「サービスステーション」は、海外に居住する国民が運転免許の更新などを行うための施設だと説明していた。(c)AFP