【12月02日 KOREA WAVE】

「スマホの中にすっぽり」

モバイル身分証に記された自動車運転免許証のサンプル(c)NEWSIS
モバイル身分証に記された自動車運転免許証のサンプル(c)NEWSIS

韓国で「モバイル身分証」の時代が本格的に到来した。これまでのようなプラスチック製カードによる身分証ではなく、運転免許証や住民登録証の機能などがすべてスマートフォンの画面にあるものだ。

通信大手SKテレコム、KT、LGユープラスの3社は11月10日に開かれた「2022大韓民国地方時代エキスポ」で、既存の住民登録証と同じ効力を持つ「住民登録証モバイル確認サービス」をパス(PASS)アプリで提供すると発表した。行政安全省が推進する身分証の電子化の取り組みの一環だ。

3社は2020年6月、「モバイル運転免許確認サービス」を既にパスアプリで提供。今回のサービス導入で、国家公認の身分証のすべての機能を手軽にスマートフォンで利用できる。

パスアプリで提供するモバイル身分証は、従来のプラスチック身分証と同じ法的効力を持つ。公共機関や銀行、レンタカー業者、空港、病院、コンビニ、選挙など、現行の身分証が使用されるすべてのところで使用できる。非対面による口座の開設、オンライン請願申請などの際にも使用は可能だ。

◇カカオ・ネイバーもサービス準備中

通信大手3社に続き、ネット大手のカカオとネイバーも各社アプリを通じて「モバイル身分証」サービスを準備中だ。

両社は、カカオトークとネイバーアプリを通じ、住民登録謄本・抄本、運転経歴証明書などを発給する電子証明書サービスは既に提供しているが、実物の身分証を代替する機能はない。

ネイバー関係者は「現在、ネイバーアプリを通じて電子証明書、公認資格証、学生証などの提供をしている。今年5月の統一地方選の際には、ネイバーアプリに保存された国家資格証による身分確認を経て投票できるようサービスを提供した。現在、モバイル身分証サービスを準備している」と語った。

カカオ関係者も「モバイル身分証サービス導入を現在検討中。導入の時期は未定だ」と話した。

サムスン電子も、自社スマートフォン内の生体認証サービス「サムスンパス」に基づくモバイル運転免許確認サービスの臨時許可を2020年3月に受けている。近距離無線通信(NFC)機能を活用し、スマートフォンと実物の身分証を接触させることで本人認証の手続きをし、政府機関からモバイル身分証を発給してもらう方法を検討したという。

モバイル身分証に記された自動車運転免許証のサンプル。「モバイル運転免許証は一般の免許証と同一に使うことができる」などとする警察庁長の通知が表示されている(c)NEWSIS
モバイル身分証に記された自動車運転免許証のサンプル。「モバイル運転免許証は一般の免許証と同一に使うことができる」などとする警察庁長の通知が表示されている(c)NEWSIS

◇実物あれば簡単発行

「住民登録証モバイル確認サービス」は登録も利用も簡単で、通信3社に加入していれば誰でも利用が可能だ。パスアプリにログインした後、「モバイル身分証」メニューに入る。通信3社を通じたPASS認証と住民登録番号、実物住民登録証発給日付など簡単な情報入力さえすれば利用できる。ただし、「運転免許証モバイル確認サービス」は、パスアプリで実物運転免許証を撮影する必要がある。

モバイル身分証では、名前や生年月日など個人情報を露出することなく、成人かどうかの確認だけで安心して利用できる。外部機関に提示する時、肉眼でも確認が可能だが、必要な場合、「政府24」アプリに入ってモバイル身分証QRコードを撮影し、本物かどうかを確認することもできる。

不正使用防止の仕組みもある。通信3社は、身分盗用などを防ぐため、「住民登録証モバイル確認サービス」は本人名義で開通したスマートフォン1台だけで利用できるように制限している。紛失届が出された際には、モバイル身分証はロック処理される。

「モバイル運転免許証」は通信3社のパスアプリだけでなく、近くの運転免許試験場や警察署の民願室(住民の要求を受け付ける場所)で対面による身元確認を経た後に発給を受けることもできる。アプリマーケットで、韓国行政安全省の「モバイル身分証」をインストールした後、▽集積回路(IC)運転免許証で発給される方法▽運転免許試験場を訪問してQRで発給される方法――の中から選択できる。

(つづく)

(c)NEWSIS/KOREA WAVE/AFPBB News