【12月1日 AFP】インドは1日、20か国・地域(G20)議長国に就任した。これに合わせてナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は戦争の終結を呼び掛け、歴史的に良好な関係にあるロシアに対し、ウクライナ侵攻を暗に批判した。

 印ロ両国の関係は冷戦(Cold War)時代にさかのぼり、ロシアは今もインドにとって最大の兵器供給国になっている。インドは、ウクライナ侵攻を明確に非難するのを避けてきたが、モディ氏は9月に上海協力機構(SCO)首脳会議に合わせて会談したロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に対し、戦争終結を促していた。

 モディ氏は、先月30日に掲載された英紙テレグラフ(Telegraph)への寄稿で、「今日、われわれに生存のための戦いは必要ない。われわれの時代は戦争の時代ではない。実際、絶対にそうであってはならない!」と訴えた。

 また、ウクライナからの穀物輸出が一時停止したことに関連し、モディ氏は「世界への食料や肥料、医薬品の供給を政治化しないよう努力する」と表明。その上で、「自分自身の家族と同様に、最も必要としている人を常に第一に考えなければならない」と強調した。

 プーチン氏は昨年、インドを訪問し、両国は軍事・エネルギー関係を強化した。ウクライナ侵攻をめぐり欧米がロシア産原油の禁輸措置を科して以降、ロシアはインドへの割引価格での原油供給を増やしている。

 インドは米国との安全保障関係の強化を図る一方、ロシアを非難するよう求める米国の呼び掛けには応じていない。ウクライナ侵攻を受け、西側とロシアの双方との関係維持に腐心するインドのバランス外交の難しさが浮き彫りになっている。(c)AFP