【12月18日 AFP】米フロリダ州沖の海で、色鮮やかな魚やエイの近くを泳ぎながら、ダイバーたちが暖流に乗って海底に向かう。行き先はたくさんの水生生物が生息し、海洋保護区にもなっている海中墓地「ネプチューン・メモリアルリーフ(Neptune Memorial Reef)」だ。

 コンクリート製のアーチや柱、銘板や墓碑はイソギンチャクやサンゴ、藻に覆われ、海底の一画が優美な墓所となっている。世界では、こうした海中墓地が増えている。

 2007年、マイアミの東沖約5キロの浅瀬で始まった取り組みは当初、純粋に水生動植物のための人工漁礁を設置することが目的だった。

 だがその3年前、世界的に著名な米国人料理研究家ジュリア・チャイルド(Julia Child)さんの遺灰がフロリダの海に葬られていたことから、プロジェクトは海中墓地へとかじを切り始めた。

 サービス開始から15年が経過し、これまでに約1500人の遺骨がこの海中墓地に納められた。今後、さらに1500人分の予約が入っているという。

 費用は選択した場所とサービスに応じて7995ドル~2万9995ドル(約110万円~410万円)となっている。

 ネプチューンの運用管理者を務めるジム・ハスラー(Jim Hustler)氏は「私たちは世界中で死滅しているサンゴ礁の代わりとなる、持続可能性のあるものを求めていました」と語る。

 同社はこれまで、4000平方メートルの海底に190か所を超える人工サンゴ礁を設け、56種の魚、カニその他の甲殻類、ウニや海綿動物たちに生息地を提供している。

「(設置物の)形状などはすべて生物が集まりやすいように設計されています」とハスラー氏。

 ネプチューン・メモリアルリーフが建設許可を得ている海底の広さは約6万4000平方メートル。完成すれば、この海底墓地は25万人以上にとっての永眠の場所となる。(c)AFP