【11月30日 CNS】11月11日に合わせた中国のネット大セール「双11(ダブル11)」はこの14年間、驚異的なスピードでEコマース市場を拡大してきたが、今年の商戦を見る限り、過熱気味だったセールは落ち着きを取り戻している。

「ダブル11の最初の3年間は、ほぼ毎年、販売量が前年比で約300%増加したが、今年の販売量は昨年とほぼ同じですね」。11月10日午後8時から始まった「ダブル11」セールについて、穗康電商の呉阿東(Wu Adong)社長はこう話す。

 新型コロナウイルス禍による物流への影響もある。酒類を販売するネットショップ業者は「各地の流行状況が物流に影響し、ダブル11の受注もかなり落ち込んでいる」と明かす。

 14年間にわたって、「ダブル11」は多くの新興ブランドを世に送り出してきた。2020年には実に360の新ブランドが「ダブル11」でカテゴリー売り上げ1位を獲得している。

 今年は従来のEコマースに加えてショートビデオのプラットフォームが拡大するなど商品の販売チャンネルは増えている。しかし、チャンネルの多様化は利用者の分散を招き、かつてのような勢いがなくなったのも事実だ。

 こうした変化を肯定的にとらえる専門家もいる。中国国立電子商取引技術研究所の趙振英(Zhao Zheny-ing)研究員は「かつてインターネットが普及していなかった時代、ダブル11は積みあがった在庫商品を吐き出す機会を提供してくれていた。現在、生産者は先に生産して後で売るというやり方から、売れ行きデータに基づく計画生産に移行しており、大量の在庫を抱える状況は存在しなくなった。このような状況下では、もはや在庫の解消のためにダブル11を使った安売りに注力する必要はなくなったのではないか」と分析する

 業界に合理性が戻ったからといって、ビジネスチャンスがなくなったわけではない。今、注目されているのはライブ配信だ。呉亜東氏によると、穗康は10月8日から11月4日までに40回のライブ配信を行っている。

「ライブ配信が全体の売り上げに占めるシェアは現在のところ3%にすぎないが、ライブ配信という販売モデルは、将来的に成長する余地がまだたくさんあると考えている」と期待している。(c)CNS-北京商報/JCM/AFPBB News