【11月25日 CGTN Japanese】惑星研究の分野では、古い地磁気や地球外生命体など重要な課題に関わる磁鉄鉱の存在が注目されています。月面は酸素分子など酸化力のある物質がないための還元的な環境であり、表面を覆う柔らかな堆積物であるレゴリスに含まれる鉄元素は主に、二価鉄イオンと金属鉄の形で存在しています。さらに、アポロ宇宙船が地球に持ち帰ったサンプルからは、ごく少量の三価鉄イオンとその鉱物が見つかっていました。

 中国科学院地球化学研究所の研究チームがこのほど、中国の月探査機「嫦娥5号(Chang'e-5)」が持ち帰ったレゴリス試料に含まれる硫化物粒子をIn-Situと呼ばれる種類に属する手法で分析したところ、月のレゴリスに天体衝突による、1000分の1ミリの大きさよりも小さなサブマイクロメートル級磁鉄鉱が存在することが初めて確認されました。

 この研究は、月のレゴリス内に原生磁鉄鉱が広範に存在する可能性があるとする学術界の推測に直接の証拠を提供すると同時に、月面の磁気異常などの重要な科学問題の解明に実験による証拠と理論的根拠を提供しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News