【11月25日 AFP】サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)に出場しているイラン代表のFWメフディ・タレミ(Mehdi Taremi)は24日、先日のグループB初戦で国歌を斉唱しなかったことによる母国政府からの「圧力」を否定した。

 21日に行われたイングランド戦の試合前、イランの選手は母国で続いている反政府デモへの連帯を示すかのように、無表情で起立したまま国歌を斉唱しなかった。タレミはこの試合で2得点を記録したものの、チームは2-6で大敗した。

 イランでは、9月にマフサ・アミニ(Mahsa Amini)さん(22)が服装規定違反の疑いで道徳警察に逮捕された後に死亡した事件をきっかけに、全土を揺るがす抗議デモが続いている。

 タレミは25日に予定されているウェールズ戦を控えた記者会見で「政治問題については話したくないが、われわれは何の圧力も受けていない」と強調。「こういう類いの質問が出るのは分かっていたが、自分が何を話そうと関係ない。なぜなら、一部の人間は好き勝手に書きたてるからだ」と語った。

「だから政治問題は、プライベートもしくはソーシャルメディアで話すにとどめたい」とし、「われわれはサッカーをプレーしに来た。それは自分たちだけでなく、ここカタールにいる選手全員がそうだ」とくぎを刺した。

 一方、イラン当局はこの日、元同国代表で2019年までに計28キャップを記録したヴォリヤー・ガフーリー(Voria Ghafouri)を逮捕した。国内メディアのファルス(Fars)通信によると、クルド系の同選手は抗議デモの強い支持者で、反政府の「プロパガンダ」を広めた疑惑で身柄を拘束されたという。(c)AFP