【11月21日 AFP】サッカーイラン代表のベテランDFエフサン・ハジサフィ(Ehsan Hajsafi)が20日、母国で女性を中心とした抗議が続き、政府による弾圧で死者も出ている中で、W杯カタール大会(2022 World Cup)では代表選手が国民の「声」になりたいと話した。

 イランではサッカーの人気が高く、普段であれば競技を通じて団結するが、9月16日に服装規定違反の疑いでマフサ・アミニ(Mahsa Amini)さんが道徳警察に逮捕され、拘束下で死亡して以降、国が揺れている。ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)によれば、弾圧による死者は400人近くに上るという。

 こうした国の対応を受け、チームにもイランの代表なのか、それとも1979年のイスラム革命以降、強権的な支配体制を敷く政権の代弁者なのかという疑問が向けられている。

 32歳のハジサフィは、チームのW杯初戦イングランド戦を翌日に控えた記者会見で、自主的にまずこの話題に言及し、母国の死者へ哀悼の意を表した。

 ハジサフィは「われわれが彼らを思っているということを、国民は知るべきだ」と話し、「母国の状態は良くない」と指摘。「国の状況が芳しくなく、国民が幸せではない事実を受け入れなければならない」とした上で、「彼らの声にならない理由も、彼らをリスペクトしない理由もない」と主張した。

「われわれの持つすべては、国民あってのものだし、われわれがここへ来たのは懸命に戦い、ピッチでいいプレーをしてゴールを決め、イランの人々に自分たちをささげるためだ」

「人々の望む方向へ状況が変わり、みんなが幸せになれるのを願っている」 (c)AFP