【11月26日 AFP】宇宙で最初の銀河は、これまで考えられていたよりもはるかに早期に形成された可能性があるとする研究が発表された。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)の観測結果に基づくもので、初期宇宙に関する天文学者らの理解を塗り替える可能性がある。

 英学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)」に発表された2本の研究論文によると、7月のウェッブ運用開始後数日間に収集されたデータに基づき、非常に明るく、非常に遠方にある銀河が二つ記録されていたことを確認した。

 これらの銀河が極めて大きな光度を持つことは、二つの興味深い可能性を示している。

 一つは、現在の銀河と同様、低質量星を多数有する非常に大質量の銀河である可能性だ。そうすると銀河の形成は、138億年前に宇宙が誕生したビッグバン(Big Bang)から1億年後に始まったと考えられる。

 これは、「宇宙の暗黒時代(星や銀河などの光を放つ天体が存在しない時代)」が終わった時期に関して、現在支持されている説よりも1億年早い。

 もう一つは、これらの銀河が「種族III」の星で構成されている可能性だ。種族III星は、まだ観測されたことのない仮説上の天体で、水素とヘリウムだけでできており、それより重い元素が存在する前の時代の恒星として存在すると推定されている。

 種族III星は極めて高温で非常に明るく燃焼するため、種族III星で構成される銀河は、ウェッブで観測された明るさを説明するのに、それほど大質量である必要はなく、形成の始まりはそれほど早くなかった可能性があると考えられる。

 米カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California at Santa Cruz)のガース・イリングワース(Garth Illingworth)氏は、「われわれが目の当たりにしているのは、これほど初期の時代の、非常に明るく、非常に大光度の銀河で、ここで何が起きているのかについては全く不明だ」と記者会見で述べた。

 今回発見された二つの銀河は、ビッグバンから約4億5000万年後と約3億5000万年後に間違いなく存在していたことが明らかになった。後者の銀河「GLASS-z12」は、観測史上最も遠方の星光を示している可能性がある。(c)AFP/Issam AHMED