【11月20日 People’s Daily】黄河(Yellow River)は中国で2番目に大きな川であり、中華文明の発祥の地だ。最近の20年間、中国は黄河流域の生態系の保護を強化しており、長年の懸案だった水不足を解消し、23年続けて断流は発生していない。

 山東省(Shandong)東営市(Dongying)にある黄河水利委員会の利津水文観測所は、黄河の水が海に流れる前の最後の観測所だ。ここで勤務する張利(Zhang Li)さんは「1997年頃は、川の流れのない日が226日もありました」と振り返る。海に水が流れない海岸線が海水に浸食され、土壌のアルカリ濃度が高まって海洋生物の種も減少した。

 黄河の断流は、河川の流量を超えて水が消費されていたためだった。黄河の流量は中国全体の2%にとどまるが、人口の12%と耕地の17%の水需要を支えていた。「黄河の断流を防ぐため、政府は消費総量を統一して決定し、各地域に割り振ることにしました」。黄河水利委員会水資源管理・調整局の可素娟(Ke Sujuan)副局長が説明する。最初に統一規制令が実行されたのは1999年3月1日。10日後には黄河全体の流れが回復し、利津水文観測所には久しぶりに黄河の水が到来した。

 規制令により黄河流域で6700億立方メートルの水が供給された。湿地帯は徐々に回復して生息する鳥が増え、生物多様性がよみがえった。同時に節水型農業の推進を通じて、黄河流域の耕作地の水使用量は全国平均より低くなった。

 山西省(Shanxi)運城市(Yuncheng)芮城県(Ruicheng)大禹渡灌漑(かんがい)区では、数千の水道管が黄土高原の斜面を登り、黄河の水を300メートル上昇させて50万ムー(約3万3000ヘクタール)もの田畑を灌漑している。地元の大規模農家、胡天妮(Hu Tianni)さんは「スプリンクラーを導入して、1ムー(15分の1ヘクタール)あたりの水消費量は150立方メートルから60立方メートル未満に減少しました」と話す。スプリンクラー設備、センサー、モノのインターネット(IoT)などの最新設備により、1000ムー(約66ヘクタール)の小麦を栽培するのに48万立方メートルの水と16万元(約312万円)のコストを節約できたという。

 水量とともに土壌の管理は重要な課題だ。陝西省(Shaanxi)北部の馬連溝村では砂防ダムの一種・チェックダムが築かれ、土砂の堆積によって150ムー(約10ヘクタール)の肥沃(ひよく)な果樹園が誕生した。チェックダムは水量と土壌を維持するだけでなく、農地の形成にも有効な手段となっている。

 各地の取り組みにより黄河の水はさらに澄んだ水となり、人々の暮らしを支えている。(c)People’s Daily/AFPBB News